黒いモノ

公開日: 本当にあった怖い話

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2年前の話をします。

当時は高校二年生で父と母が色々揉めて離婚に差し掛かってるところだった。

父は酒癖が悪いけど一応仕事はちゃんとやっていたし、どちらかというと頭がよく回転する人で、酔ってない時は優しい人だった。

酔っ払うと人が変わったように私たちに暴力振るったり、母の連れ子である私に卑猥な事を働こうとする。

母もそれを知ってか、父が酔っ払うと私と弟をおじいちゃんの家に泊まらせたりしていた。

夏休みになり、離婚して引っ越すのにも時期が良いと思い母がついに離婚届を父に渡した。

父は納得いかないといって怒り狂っていた。

シラフの時にあれだけ怒っているのを見るのは初めてで怖かったのを覚えています。

このままではラチがあかないというので、新居が見つかるまではおじいちゃんの家に母と私と弟をいさせてもらうことにした。

これが7月後半の話。

おじいちゃんは小さいけど自分の工場を持っていて色んな部品を作る仕事をしていた。

おじいちゃんの家に引っ越してからしばらく経つと母と弟の体調が著しく悪くなり始めた。

私はというと、元々何かを感じ取る事ができたことはあったんですが、感じるだけでみたり聞いたりはできなかったです。

母と弟は最初は風邪かなと思って病院に行って薬を貰ったりしたが一向に治らず、母の方は喉が赤く膿んで声が出なくなってしまった。

病院行っても原因は判らず、咳止めか抗生物質を出されたりするだけで日に日に悪化していった。

弟はというと毎日咳と片足に痛みを感じていたり、一週間に一度は必ず高熱が出て、前まであんなに元気で活発だった弟の姿はもうなく、遊びにも行けず部屋で頭を掻き毟るという癖がついてしまい、髪の毛が急激に抜けていった。

こうもなったらさすがにおじいちゃんとお婆ちゃんや親戚の人が心配しはじめた。

おじいちゃんや婆ちゃんは二人を連れて病院を駆け回っていたが特にこれといった診断はなかった。

私はというと、毎日金縛りらしきものに襲われ、君の悪い夢を見るようになった。

夢の内容は、登場する物はその都度変わるが、いつも同じタイミングで目覚めます。

一番印象に残ってる夢を書きます。

私は前父と住んでいた家のトイレで寝てることから夢が始まります。

起きるとすごく寒くて鳥肌が立っており、早くベッドに戻ろうとするんですが、トイレの扉が開かなくてしばらく苦戦します。

しばらくドアを開けようとするが全く開かなくて諦めそうになるが、今出なきゃダメという強い思いがあって、トイレのドアの小さいガラス窓を割って脱出します。

そこから出る時には体が血まみれで、すごく痛くて、痛みがとてもリアルです。

出るとその風景はなぜか私が通ってる学校の屋根の上です。

その時の私は私ではなく、私が母で私は弟を抱えて屋根の上から少しずつ歩き出します。

学校に屋上はなく、図書館から梯子を登って屋根に上がるのですが、普段は鍵がかかっていて入れないのになぜか屋根の上にいます。

私は母になっていて、母の思ってることもその時は感じていました。

弟を抱えて飛び降りようとしているのです。

私は母になってるのですが、私の感覚は私と母の気持ちが入り交ざっています。

弟は寝ているのだが色々な場所を掻きむしっていました。

このままでは二人が死んでしまうと思い、何か行動を起こそうとするのですが体が動かず、前に進むばかりです。

ついには端に来てしまい、あと一歩というところで目覚めるか、誰かに呼び止められて起きるという形で目を覚まします。

夏なのもありますがビッショリ汗を掻いています。

夢はこういう形なんですが、毎回登場人物が違います。

おじいちゃんが私を抱きかかえていたり、弟を抱きかかえてたり、母がお婆ちゃんに抱きかかえられてたりと様々なパターンがありますが、トイレで起きて私が脱出したらそこはビルの上だったりおじいちゃんの工場だったりで、誰かが誰かを抱えて一緒に死のうとしてるシーンです。

これが決まったパターンで、これ以外はないです。

しかし必ず起こす人がおじいちゃんかおばあちゃんでした。

この夢を見ている間も二人の状態は悪化するばかりで日に日にやつれていきます。

この辺りから私は二人から妙な陰気を感じるようになり何か取り憑いてるようにも思えました。

それをじいちゃんに相談したところ、じいちゃんのお姉さんが知り合いの霊媒師を紹介してくれると言い、そこへ行くことにしました。

弟は杖を使ってないと歩けないくらい足がひどくなっていたし、母は声もでないけど二人をなんとかしてその人の所に連れて行ったところ、その人は酷く真っ青な顔になり、しばらく黙った後に、呪いや酷い怨みなどすごいドロドロしたものが憑いていると言い、このまま放っておくとそのうち身を滅ぼす羽目になるから早い内に今から言う事をしなさいと言われました。

まず、うちに帰ると家の周り半径100メートル以内に小さくて丸い黒い物体がないか探してください。

もしそれがあった場合はできる限り拾い集めて燃やし、その灰を今から渡す袋に入れて私のところに持ってくるか神社に納めること。

もしない場合は近いうちにそれが撒かれるかもしれないから、3日間は家の周りを監視していること。

その行為を行っている時は、二人はできるだけ西側にある所に娘さんと一緒に閉じ込めて部屋から出ないようにすること。

随分胡散臭いと思っていたけど、もうこれしかないと思い、みんなで実施することにしました。

帰ってから私たち3人は西側にあるというおじいちゃんの工場の休憩室に用を足す容器と水、毛布やとりあえず数日の食料を持って中と外から鍵をかけました。

しばらくすると外からおじいちゃんが、黒い物体は見つかってないから、これからは親戚の人たちと一緒に監視するから安心しなとのことだった。

感謝しながらも私たちはテレビを見ていた。

その日はそのまま眠りについたけど、未明あたりに外がやけに騒がしい。

何事かと思い耳をすませていたら誰かが部屋の近くに来て、今から開けるから出て来なさいと言われた。

親戚の叔父ちゃんの声に似ていたので、お母さんはもう大丈夫なんだと思ったらしく喜んで開けようとしたが、何かが違うようで外からは強烈な物を感じて開けてはならないと直感で感じた。

私を一緒に閉じ込めた意味も何かあるのではないかと思い母を止めた。

開けないまま静かにしていると、その声が女の人に変わっていったりした。

どんどん怖くなって行き、3人で毛布に包まってるともうそれはいなくなったようで、4時間くらい経った後におじいちゃんが来てくれた。

外からはもう何も感じなかったので、開けたらもう大丈夫だからと言われて安心したのと同時に3人でグッタリして寝た。

起きてからおじいちゃんに話を聞くと、騒がしかった未明に家の裏にある部品置き場の近くから歩く声がしたのでそこへ行ってみると、前のお父さんがいたということだった。

オマケに荷物の中に黒い物体があるのではないかと探してみたところ、案の定袋に入ったそれが大量にあり、変な灰まで見つけたとのことで、急いであの人のところへ行ったという。

おじいちゃんも詳しいことは聞かされていないが、呪いの一種で強い怨みがあり、その人にどんどん負の物をよせつけて事故に遭うか自分から死ぬかどっちかの結果になる場合が多いということだった。

私がそういう風にならなかったのも、一緒に閉じ込めたのも守護霊が非常に多く全部力が強かったお陰で、母と弟の状態がこの程度で済んでいるということでした。

黒い物体は神社に納めて、呪いをすると必ず自分に帰ってくるというのは本当なのかというくらい、正式に離婚届を出してから父は仕事が上手くいかなくなり、精神を病んで
事故に遭い片足を失ってしまいました。

今は実家にいるらしく、あれからは連絡は取っていません。

今はおじいちゃんの家の近くに住んでおり、就職してなんとかやっていけています。

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