黒い塊
公開日: 笑える怪談
これは、二十歳になったばかりの男子学生の経験した話である。
その学生が住んでるアパートは、築35年くらいの木造で、駅からも結構距離がある。
トイレは共同だし風呂もついてないが、田舎ということもあって、とにかく家賃が安かった。
もともとアパートには “出る” という噂があったが、学生には霊感がなかったので、特に気にしていなかった。
しかし、そこで学生が暮らし始めて1年ほど経ったころから、奇妙なことが起こり始めた。
ある日、流し台の排水管に何かが詰まって、水が流れなくなってしまったのだ。
それだけなら別に何でもないことで、学生は生ゴミか何かだろうと思って、掃除したのだった。
詰まっていたのはヌルヌルの黒い塊で、なんとそれは多量の髪の毛。
少し気味悪がった学生は、塩だけ撒いてそのままにしておいた。
その後も配水管が詰まって、中から髪の毛が出てくるという現象が何度か続いた。
3ヶ月のうちに5回もそんなことがあると、さすがに気持ちが悪い。
学生は、同じ学校にそっち方面に詳しい友人がいたため、その人に視てもらうことにした。
小さい部屋なので霊視はすぐ終了したが、友人はちょっと浮かない顔をしている。
学生は、今までの生活状態を話して、何とか原因を突き止めてもらおうとした。
友人は、
「…多分、お前の家系的な問題だと思う…」
と、すごく言いにくそうに、意味深なことを言った。
学生がいくら問い詰めてみても、友人は何も話してくれなかったが、去り際に1枚のメモを渡してきた。
「俺がしてやれるのはコレくらいだから」
そう言うと、友人は逃げるように帰って行った。
自分はその手渡されたメモを見て、全てを悟ってしまったのだ。そのメモには、友達の筆跡でこう書かれていた。
『0120-00-9696』