おばあちゃんが結んだ御縁

繋いだ手(フリー素材)

半年前に誕生日を迎えたんだけど、その夜に不思議な夢を見た。

昔のおじいちゃんの家で正座をしていて、辺りを見渡していたら、ふとおばあちゃんが入って来た。

おばあちゃん、四歳の時に死んでいるんだよ。

その家ももうとっくに無いので夢だと分かっていたんだけど、それでも嬉しくて

「うわー、おばーちゃーん」

と抱き着こうとしたの。

そしたらおばあちゃんは、メッという怖い顔をして正面に座った。

そして、

「あんた、まだ結婚せんと?」

と聞いてきた。

「しようにも相手おらへんし」

と答えたら、おばあちゃんはふーっと溜め息を吐いて消えた。

そこで目が覚めた。

その直後、彼氏が出来た。七年ぶりくらいに(笑)。

それで驚いたのは、彼氏が家に来た時にピアノの上のおばあちゃんの写真を見て、滅茶苦茶驚いた顔をしていたの。

「どうしたん?」

と聞いたら、

「夢の中に出てきた」

って…。

「うちに縁の無い孫が居るからもらってくれ」

と言われたらしい(笑)。

ただ単におばあちゃんが心配性だったのか、それとも心配するほど私に縁が無かったのかは分からないけど、取り敢えず凄いスピードで今月彼と結婚する。

プロポーズは、

「おばあちゃんにもお願いされたから」

嬉しいんだけど、何か複雑な気分だった(笑)。

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