クジ引き

日本酒(フリー写真)

この前、近所の商店街のイベントでクジを引いた。

買い物をすると貰えるクジ引き券を数枚集めて引くあれだ。

『三等のスポーツ自転車が欲しいな~』なんて考えながら箱に手を入れてゴソゴソやっていると、耳元で『それだっ!』という大声がした。

二年前に亡くなった爺ちゃんの声だった。

声に驚き、思わずそのクジを握ってしまった。

取り出してみると、六等の日本酒セット。有名な酒蔵のものらしい。

確かに生前は物凄い酒好きだったけど『死んでも酒なのか!』と少し呆れた。

取り敢えず爺ちゃんの仏壇に半分お供えし、残りは手間賃として俺が飲んだ。

凄く楽しそうにお酒を飲む人だったので、思い出してちょっと懐かしかった。

関連記事

人形釣った

俺は東京で働いていて家庭を持ってたんだが、2年前からちょっとキツイ病気になって、入退院を繰り返した挙句会社をクビにされた。 これが主な原因なんだが、その他にもあれこれあって女房と…

戦闘機(フリー写真)

護衛機

爺ちゃんから聞いた話。 俺の爺ちゃんは戦争中、爆撃機で司令官を運ぶパイロットだった。 もちろん護衛に戦闘機を引き連れてだけど。 戦争で戦友が次々死んで行く中で、爺ち…

民宿の一室(フリー写真)

あの時の約束

長野県Y郡の旅館に泊まった時の話。 スキー場に近い割に静かなその温泉地がすっかり気に入り、僕は一ヶ月以上もそこに泊まったんです。 その時、宿の女将さんから聞いた話をします。…

彼岸花(フリー写真)

祖母の隠れ場所

自分が3歳の時に父方の祖母が亡くなった。 皆さんお察しの通り、人の死という現実の認識が出来ない子供の事です。 私はキャッキャッと親戚が居る中をふざけながら走り回り、それこそ…

空(フリー写真)

夢枕に立つ祖母

俺にとってばあちゃんは『優しさ』の権化のような人だった。 いつもにこにこしていて、言葉を荒げることもなく、本当に穏やかな人で、家族みんなばあちゃんのことが大好きだった。 ば…

自動ドアが認識しない人間

大学二年の夏休みに入る少し前からだったかな…。 コンビニやらスーパーやらの入り口、とにかく全ての自動ドアが俺に反応しなくなった事があった。 それまでは普通に入ることの出来て…

ある蕎麦屋の話

JRがまだ国鉄と呼ばれていた頃の話。 地元の駅に蕎麦屋が一軒あった。いわゆる駅そば。 チェーン店ではなく、駅の外のあるお蕎麦屋さんが契約していた店舗で、『旨い、安い、でも種…

坂道(フリー写真)

坂道と父

5年ほど前に父を亡くしました。 体を壊して働けなくなり、自棄になってアルコールやギャンブルに走って借金を作り、最後は 「飲んだら死ぬよ」 と医者に言われながらも、飲み…

兄弟(フリー写真)

兄が進む道

私の兄は優秀な人間でしたが、引き篭もり癖がありました(引き篭もりという言葉が出来る前のことです)。 生真面目過ぎて世の中の不正が許せなかったり、自分が世界に理解してもらえないこと…

俺の住んでいるマンション

大阪市西区の駅近マンションに引っ越した当初の事。 駅まで徒歩5分、コンビニまで1分くらいなのに家賃3万円。 おかしいと思ったけどとりあえず便利だから住むことにした。 …