古戦場の近くにある寮

公開日: ほんのり怖い話 | 心霊体験 | 怖い話

夜のアパート(フリー素材)

今から八年前の五月に体験した話。

当時は大学の寮に住んでいたのだけど、その寮は凄かった。

古戦場の近くで、その霊を供養するお寺が近所にあり、更に寮の隣の竹林には首塚があった。

俺の部屋の真下の部屋では首吊り自殺が起きた。

だから霊感の少しでもある者は、入居どころか近寄りもしない。

寮の住人は霊感が無いどころか、寮に入るまで金縛りにも遭ったこともない。

しかし入寮して大抵、2、3ヶ月以内には面白い体験をする。

その年の新入生で、俺の部屋の廊下を挟んで向かいの部屋に入って来たのがAだった。

その部屋は窓から竹林が見え、寮の中でも一番面白い体験のできる部屋だったのだが、

Aは全く気にしていないようだった。

ゴールデンウィーク中に、寮の暇な連中が集まって麻雀をすることになった。その中にAも居た。

麻雀を打ちながら、寮で起こる不思議な現象についての話になった。

俺「A、お前そろそろ体験したんか?」

A「少しだけっすね」

俺「お前が来る以前にあの部屋におった先輩は、

『窓開けて寝てたら竹林から生首が飛んで来た』って言っとったぞ」

A「飛んで来ましたよ」

俺「!!…で、どうした」

A「別にどうも。

何か金縛りとかになってむかついたんで、

『殺れるもんなら殺ってみろ』て思ってたら消えました」

俺「…」

と、ここまでで話が終われば笑い話になったのだけど…。

Aは五月の後半に交通事故を起こし、首の骨を骨折して四日間の昏睡状態の末、亡くなりました。

その後もこの寮では色々なことが起こりました。

ほんのりと恐かったです。

関連記事

叩かれるドア

今年の年始だったんだが、夜に歩いて3分のコンビニまで酒買いに行ったんだ。 まあ、難なく酒買って、寒いから一本空けながら帰ってたんだよ。 iPodで大音量で音楽聴きながらハイ…

立ち入り禁止の波止場

友達の怖い話。 仮にK君としよう。彼は沖縄出身で、若い頃は結構やんちゃなやつ。 「本当におばけなんかいるのか? じゃあ、試してみよう」なんて言うやつだった。 例えば夜…

病院(フリー写真)

深夜病棟での心霊体験

私の兄は、神奈川県の某老人病院で看護士をしている。 その病院では、夜中に誰も乗っていないエレベーターが突然動き出したりなど、如何にも病院らしい話がよくあるとの事。 その兄が…

箪笥(フリー写真)

形見の箪笥

高校時代の英語教師に聞いた話。 解り易い授業と淡々としたユーモアが売りで、あまり生徒と馴れ合う事は無いけれど、なかなか人気のある先生でした。 ※ 昔、奥さんが死んだ時(話の枕…

トンネル(フリー写真)

車の手形

ある日、大学生のカップルが山へドライブに行きました。 夕方になり、辺りが薄暗くなった頃に帰ろうとしたのですが、道を間違えたのか、行きでは通らなかった古びたトンネルに行き着いてしま…

かけてはいけない電話番号

皆さんはかけてはいけない電話番号というものをご存知だろうか。 ここでは番号を掲載しないが、“かけてはいけない電話番号” で検索すると沢山結果が出てくるので、興味のある方は挑戦して…

地獄のバス

小学校の修学旅行でのことだった。 我々は一路目的地を目指してバスに乗り込んだ。 席も隣同士だった。少しテンションの高すぎる彼に閉口しながらも、バスの旅は快調に進んで行った……

運転注意

先日、父親が知り合いを近所の病院へ車で送った時の話。 その病院は市の中心部から少し離れたところにあり、ちょっとばかり丘の上にある戦時中からある大きな病院。 入り口まで着き、…

切り株(フリー写真)

植物の気持ち

先日、次男坊と二人で、河原に蕗の薹を摘みに行きました。 まだ少し時期が早かった事もあり、思うように収穫が無いまま、結構な距離を歩く羽目になってしまいました。 視線を常に地べ…

夜のオフィス

『零』シリーズ裏側の恐怖

ホラーゲーム『零』シリーズの柴田ディレクターは、お祓いを行わないことを信条としていました。 真の恐怖体験を提供するゲームを作るには、お祓いが逆に恐怖感を損なうものと認識していた…