さよなら

公開日: 怖い話 | 本当にあった怖い話

goodbye

中学生の頃、一人の女子が数人の女子から虐められていた。

いつも一人で本を読んでいるような子で、髪も前髪を伸ばしっ放しで幽霊女なんて言われていた。

でもさ、その子滅茶苦茶可愛かったんだよね。

普段隠れている目はぱっちり大きくてくっきりした二重瞼、まつ毛も長い。

だから俺を含めた一部の男子からは人気があって、何人かはよく話しかけていたんだけど、その子は大抵一言二言返事を返すものの話を続けようとしない。

多分、そんなところが虐めている女子達は気に入らなかったんだろうね。

徐々に虐めはエスカレートして行った。

その子を気に入っている男子達は虐めを見かけたら止めたりしてたんだけどさ、それでも虐めは無くならなかった。

ところで、その子は「おはよう」と言えば必ず「おはよう」と返してくれるけど、「さよなら」を返してくれた事は無かった。

でもさ、その子が一度だけ「さよなら」を言った時があった。

その子を虐めていた女子連中に。

その日、その女子連中は全員死んだ。それぞれ帰宅途中に事故に遭って。

偶然だとは思うけど怖かったよ。自分が「さよなら」を言われたら自分が死ぬんじゃないかってね。

だから俺はその子に「さよなら」を言うのはやめた。

それでも、その子に話しかけて「さよなら」まで言うやつはいた。正直スゲーと思ったよ。

まあ、中学を卒業するまでその子が誰かに「さよなら」を言うことは二度と無かったんだけどね。

関連記事

ビジネスホテルの窓(フリー写真)

ビジネスホテルでの心霊体験

学生の頃、都内の某ビジネスホテルで警備のアルバイトをしていた。 従業員が仮眠を取る深夜0時から朝の5時まで、簡単なフロント業務と見回り。 あと門限過ぎに戻って来る泊り客に、…

女性の肖像画

今朝、鏡を見ていたらふと思い出した事があったので、ここに書きます。 十年くらい前、母と当時中学生くらいだった私の二人でアルバムを見ていた事がありました。 暫くは私のアルバム…

新小岩駅(フリー写真)

腕を探す男

少し前の事だが、JR新小岩駅のホームで変な男を見た。 サラリーマン風の男が、 「僕の腕知りませんかー」「僕の腕知りませんかー」 と甲高い大声を上げながら、ホームを行っ…

ハサミ

ハサミ女

近所に「ハサミ女」と呼ばれる頭のおかしい女がいた。 30歳前後で、髪は長くボサボサ、いつも何かを呟きながら笑っている、この手の人間の雛形的な存在。 呼び名の通り常に裁ちバサ…

山道

途切れさせてはいけない

俺の嫁が学生の頃の話。 オカルト研究サークルに入っていた嫁の友達K子が、心霊スポットについての噂を仕入れて来た。 東北地方某県の山中に、周囲を注連縄で囲われている廃神社があ…

パンダ

パンダのぬいぐるみ

5歳の頃、一番大事にしていたぬいぐるみを捨てられたことがありました。 それはパンダのぬいぐるみで、お腹に電池を入れると足が交互に動いて歩くものです。キャラクターではなくリアルに近…

コッケさん

私の田舎ではコケシの事をコッケさんと言って、コケシという呼び方をすると大人に相当怒られました。 中学生に上がりたての頃、半端なエロ本知識で「電動こけし」という単語を知ったクラスの…

海(フリー写真)

海ボウズ

俺の爺ちゃんの話。 爺ちゃんは物心が付く頃には船に乗っていたという、生粋の漁師だった。 長年海で暮らしてきた爺ちゃんは、海の素晴らしさ、それと同じくらいの怖さを、よく寝物語…

神社の奥の光

俺、弓道やってるのね。その道場への行き道の途中を曲がると鳥居があるのよ。多分奥に神社があるんだろうけど見えてるのは鳥居だけ。で、鳥居の一直線上には暗いと何も見えないわけ。多分神社は一直…

キャンプ(フリー写真)

百人浜に現れた男

北海道の百人浜(襟裳岬近くの百人浜キャンプ場)で聞いた話。 一昨年に北海道へ行った際、途中一緒になった京都のセロー乗りの方に、今夜は百人浜へ泊まろうと思っている事を話すと、彼は真…