疫病神

公開日: 怖い話

Hoodoo-Vision,-Kurt-Wiscombe-2011

20年くらい前、高校生の時一人で留守番をしていたら、インターホンが鳴った。

出てみると、乞食みたいなのが立っていて「この家には死神がついている」と言い残して立ち去っていった。

それからしばらくして、父親が交通事故、母親が胃ガン、弟は野球部の練習で打球を左目に受け失明寸前、妹は中学でいじめられて不登校になり、祖父のボケがひどくなるなど、死人こそ出なかったが、家中めちゃくちゃだった。

乞食のことは誰にも喋ってなかったのだが、言ってることがあたったのではと内心おびえていた。

次は俺の番かと思っていたが、何事もなく20年が過ぎた。

今年の正月に実家に帰った時、父親と酒を呑みながらその話をしたら、遠くを見るような目で「それは本物の疫病神だったのかもしれんな」と呟いていた。

関連記事

キャンプファイアー(フリー写真)

火の番

友人が何人かの仲間とキャンプに出掛けた時のことだ。 夜も更けて他の者は寝入ってしまい、火の側に居るのは彼一人だった。 欠伸を噛み殺しながら、 『そろそろ火の始末をして…

河原(フリー写真)

手を振る人形

2008年8月の終わり頃、一週間ほど夏休みが取れたので兵庫県の実家に帰省しました。 ある日、叔父(父の弟)に頼まれた簡単な仕事の手伝いを終え、二人車で帰路に着きました。 時…

肝試しから戻らない7人

この話は実際に新聞に載った話です。 ある高校生の男女8人が、一人の家に集まって怖い話をしていたそうです。 夜も更けてきた所で、肝試しに行くことになりました。 でも本当…

教授のメモ

ある大学の教授が突然、姿をくらませた。 教授と同じ研究室の助手は、最初は旅行にでも行ったのだろうと考えたが、大学側に問い合わせても教授の行方は判らないと言う。 助手はどうし…

正夢

ある若い女性が家に帰ろうと夜道を歩いていた。 ふと背後に気配を感じた彼女が振り返ると、黒っぽい服を着た男が彼女の後ろを歩いている。 しばらく歩き続けたが男の足音は消えず、ま…

田舎道

同じ夢を見ていた友人

これは、今から10年以上前──私が中学生だった頃に体験した、今も忘れられない出来事です。 当時、私はある“同じ夢”を何度も繰り返し見ていました。 夢の中で、私は左右に田ん…

初めて見た霊

俺が中学の時の話。 麻雀を覚えたての頃で、仲の良い友達3人(A・B・C)と学校が終わってはAの家に集まり麻雀をやっていた。 Aの部屋は離れにあり、親などに特にうるさくされず…

夢

記憶を追って来る女

語り部というのは得難い才能だと思う。彼らが話し始めると、それまで見てきた世界が別のものになる。 例えば、俺などが同じように話しても、語り部のように人々を怖がらせたり楽しませたりは…

アリス(フリーイラスト)

アリス症候群の恐怖

自分は小さい頃から「不思議の国のアリス症候群」の症状があった。 時々遠近感が曖昧になったり、周りの物が大きくなったり小さくなったりする感覚に陥る。 大抵の場合、じっとしてい…

公衆電話

禁忌の電話番号

皆さんは"かけてはいけない電話番号"というものをご存知でしょうか。この話では具体的な番号は掲載しませんが、興味がある方はインターネットで検索してみると良いでしょう。特に注目すべきは、…