車の手形

公開日: 心霊体験 | 怖い話

トンネル(フリー写真)

ある日、大学生のカップルが山へドライブに行きました。

夕方になり、辺りが薄暗くなった頃に帰ろうとしたのですが、道を間違えたのか、行きでは通らなかった古びたトンネルに行き着いてしまいました。

辺りは暗く、少し気味が悪かったのですが、一本道なのでそこを通るしかありません。

仕方なくトンネルに入ると…、

「バン」

と後ろの窓を叩かれたような衝撃がありました。

びっくりして彼女が後ろを振り向きましたが、何もありませんでした。

後続の車もありません。早く抜け出そうとそのまま走っていると…、

「バン、バン」

「バン、バン、バン」

「バンバン、バン、バン、バンバン」

至る所から車が叩かれ始めました。

恐ろしくなった二人は、とにかく急いでトンネルを抜けようと、猛スピードで車を走らせました。

早く人の居る所へ行きたいと必死に車を走らせ、二人はようやく山の麓のガソリンスタンドに辿り着きました。

明るい電気の下で窓ガラスを見ると、大小様々な手形がびっしりと付いていました。

店員さんに拭き掃除を頼み、すぐに掃除を始める店員を無意識に眺めながら、車内で呆然とする二人。

暫くして店員が首を傾げながら運転席の横までやって来て、コンコンと窓を叩きました。

何だろうと思いながら窓を開け、話を聞いて二人は凍り付きました。

「この手形、中から付いてますよ」

関連記事

しりとりをしてみようか

ずいぶん昔の話。 ラジオ番組の録音を聴きたくて、友達にカセットテープを借りた。 お目当てのラジオ番組を聞き終わったものの、いちいち停止ボタン押すの面倒で、テープが最後まで再…

医療器具(フリー素材)

謎のカルテ

これは2年前の夏、病院で夜勤中に体験した出来事です。 その日、私は夜勤をする救急室にて患者対応をしていました。 何台か救急車が入り、その内の1人が当院かかりつけの患者でした…

差し込む光(フリー写真)

井戸の女性

伯父に聞いた戦時中の話です。 実家は長崎にあるのですが、伯父は原爆が投下された時には少し離れた市の親戚の家に居たので無事でした。 戦争が終わり、暫くして実家に戻ると、家の裏…

廃墟

消えた声、風の中から

高校2年の夏休みのことだった。 霊の存在など信じないと豪語していた友人が、地元で“出る”と噂されていた廃屋に、ひと晩ひとりで泊まってみると言い出した。 その日の昼間、彼は…

異国の像

中学校2年の時の話。俺の家は漁師ではなかったが海辺に住んでいた。 というか前の浜から背後の山まで狭くて細長い土地の町だったので、殆どの人が海辺に住んでいると言えるのだけど。 …

白い影

当時、私は精神的に荒んでいて、よく大型バイクをかっ飛ばしたりしていました。 その日もバイクで走っていたのですが、広めの幹線道路は渋滞していました。 そこで、道の左端をすり抜…

アパートのドアノブ(フリー写真)

開けて

大学進学のために上京した時の話です。 私は志望した大学に無事受かり、4月から新しい学校生活を送るため、田舎から上京して一人暮らしをする事になりました。 学校まで電車で20…

グラス

青いワンピース

結婚して4年目のある日の出来事です。当時、私の会社にはとても可愛らしい事務員の女性が新しく入社していました。浮気するつもりはさらさらなかったものの、その女性のことが気になっていました…

ふたりの父親

4~5歳くらいまで、父親が2人いた。 それも、浮気とかじゃなくて、同じ父親が2人。 意味が分からないと思うけど、顔形は全く同じなのに目つきだけが異様な感じがする、とにかくこ…

火柱

人型焼き

ある夏の日の話をしようと思う。 その日は、前々から行くつもりだった近場の神社を訪ねた。 俺には少々オカルト趣味があり、変な話や不思議な物等が大好物だった。 この日も、…