狐が迎えに来る

公開日: 怖い話

おはじき(フリー写真)

『一夜物語』という携帯ゲームを知っていますか?

そのゲームのオープニングで狐の話が出るのです。

あの話を制作者が知っているかどうかは別にして、実は非常によく似た話があります。

先日、不思議な夢を見ました。

夢の中で一人の男の子と遊んでいるんです。

ベーゴマやおはじきなど、かなり昔の遊びです。やり方も知らない筈なのに。

暗くなってきてお家に帰ろうとなった時に、その男の子は遊び足りないのか、

「僕の家に来て一緒に遊ぼう」

と言ったんです。

でももう暗いし、早く帰らないとお母さんに怒られるからと断ったんです。

それでもその男の子は、家においでとしつこく誘ってくるので、じゃああと一回ベーゴマ勝負して、負けたら行くよって言ったんです。

結局勝負には勝って、その時は帰るということになったのですが、帰る時にその男の子が物凄く悔しそうな、寂しそうな表情をしていました。

何だかいたたまれない気持ちになって、

「明日、また遊ぼう」

と言い帰りました。

そこでふと目が覚めて『ああ夢だったんだ、不思議な夢だな』と思った瞬間、耳元で

「次は連れて行くからね」

と聞こえたんです。

その瞬間、ある事を思い出しました。

発端は今から20年近く前、小学校の担任がホームルームの時に怖い話をしてくれました。

寂しく孤独な狐の話。

話の内容は割愛しますが、非常に怖く、でも何故だか妙に寂しい気持ちになったのを憶えています。

話の最後に先生は、

「この話を忘れた頃、みんなのところにも狐が迎えに来るよ」

と言ったんです。

それで『ああ、狐が迎えに来たんだな』と思いました。

もし最後に負けていたら、私はどうなっていたのでしょう。

関連記事

林道(フリー写真)

姥捨て山

俺の兄貴が小学生の頃、まだ俺が生まれる前に体験した話。 兄貴が小学5年生の春頃、おじいちゃんと一緒に近くの山へ山菜採りに入った。 狙っていたのはタラという植物の芽で、幹に棘…

みょうけん様

うちの地元に「○っちゃテレビ」というケーブルテレビの放送局があるんだが、たまに「地元警察署からのお知らせ」というのを流すんだ。 どこそこのお婆さんが山に山菜を採りに行って行方不明…

空き家(フリー写真)

両目を閉じたまま

小学低学年の頃、両親の用事のため、俺は知り合いのおばちゃん家に一晩預けられた。 そこの家は柴犬を飼っていて、俺は一日目の暇潰しにその犬を連れて散歩に出かけた。 土地感のな…

人形の夢

前月に学校を辞めたゼミの先輩が残して行った荷物がある、という話は久保から聞いた。 殆ど使われていない埃っぽい実験準備室の隅っこに置かれた更衣ロッカーの中。 汚れたつなぎや新…

炎(フリー写真)

火葬

私の知人の実家では少し前まで、山頂の小さな野原で火葬を行っていた。 山奥の集落ゆえ、死人が出ると村内で埋葬するしかなかったのだ。 火葬をする夜は、村の家々は固く扉を閉め、…

アリス(フリーイラスト)

アリス症候群の恐怖

自分は小さい頃から「不思議の国のアリス症候群」の症状があった。 時々遠近感が曖昧になったり、周りの物が大きくなったり小さくなったりする感覚に陥る。 大抵の場合、じっとしてい…

かくれんぼ

かくれんぼの夢

これは四つ下の弟の話。当時、弟は小4、俺は中2、兄貴は高1だった。 兄貴は寮に入っていたから、家に帰って来ることは殆ど無かった。 俺は陸上部に入っていて、毎朝ランニングをし…

競売物件

競売物件

自動車免許を取りに免許センターへ通っていた時に仲良くなった人から聞いた話。 筆記試験が終わり、知り合いも来ていないし一人でぼーっとしていると、20代後半くらいのサラリーマン風の人…

野球のバッター(フリー写真)

避けられない未来

都内のある高校に、ちょっとした怪談が流行った事がありました。 「校舎の横に植えてある手前から四番目のポプラの木を、夕暮れ時に見に行くと、 頭蓋骨が転がっている事があり、そ…

マッチの灯り(フリー写真)

墓場の幽霊

うちの近所にお墓がある。そこに一人で住んでいるおばあさんが体験した話。 ※ ある夜、そのおばあさんは布団に入って眠っていたが、人の気配を感じて起きたらしい。 だがそんなことは…