人面芋

公開日: 怖い話 | 田舎にまつわる怖い話

畑(フリー写真)

兄夫婦の嫁さんが教えてくれた話。

兄嫁(仮名・K子さん)のお父さんは、昔から農家をしている人だった。

農家というのは、幼い頃からお手伝いをさせられるから大変だったと、K子さんはよく愚痴をこぼしていた。

そんな愚痴の流れと、酒の勢いで出た話。

当時、K子さんは小学校低学年くらいで、家の作業を手伝っていた。

K子さんのお父さんは、ジャガイモやソバ、果てはワサビなど色々な作物を作っていた。

なのであまり収穫などに機械を使わない(規格的に使えない)ので、手作業だったらしい。

それでも無農薬で丹精込めて作った野菜は、本当に美味しくて評判だった。

ある日、K子さんのお父さんの兄が農家を辞めることになり、土地の一部を請け負った。

そこそこの広さだし、元はソバを育てていた土地だから、取り敢えずジャガイモを植えて様子を見た。

そのジャガイモの最初の収穫の時、K子さんが手作業で掘っていたら面白いものが出て来た。

よく大根などにある、人型をしたジャガイモが採れたんだって。

それもリアルな顔立ちをしていて、ジャガイモにしてはサイズも大きい。

これは珍しいというのでお父さんに見せたら、

「良かったなー」

と褒めてくれたそうだ。

その芋は出荷せず、その日にバター醤油で焼いて食べたのだが、お父さんの土地のジャガイモより美味しくない。

大きくなり過ぎているし、まだ整った土地とも言えないし、そんなもんだよとお父さんは教えてくれた。

それから何度か植え付け、収穫を繰り返していたのだけど、必ず大き目で人型をしたジャガイモが採れたらしい。

よくよく思い返すと、いつも同じ場所でその人面芋は見つかるんだって。

他のジャガイモはどんどん美味しくなるのに、そのジャガイモだけは美味しくないまま。

でも採れる度に毎回、食卓に並ぶ。それがK子さんが高校受験をする時くらいまで続いたらしい。

しかしK子さんのお父さんの兄が失踪してから、人面芋が収穫出来なくなった。

それどころか、請け負っていた土地の作物が急に不作続きになり、結局荒地になってしまった。

K子さんのお父さん曰く、

「兄貴、土に何かしてたのかもなー」

と気にも留めていなかった。

K子さんもそこまで気にはしていなかったが、尾を引く事件だったとは言っていた。

しかし私からすると、そんな得体の知れない土地とチカラで育った野菜を食べていることが恐ろしかった。

関連記事

ネットカフェ(フリー写真)

ネットカフェの恐怖体験

ネットカフェを三日間連続で利用したことがあったんだけどさ、36時間以上は連続利用出来ないから一度追い出されるのね。 今までマッサージチェアやリクライニングチェアがある部屋しか使わ…

終わらない鬼ごっこ

これは俺が小学校6年の時に、同じクラスのSって言う奴との間に起こった出来事です。 コイツはいつも挙動不審で訳の分からない奴だった。事業中はいつも寝ていて給食だけ食べていつも帰って…

暗い夜道(フリー写真)

ヤモリ女

あれは大晦日のことでした。 深夜、煙草を買いに行こうと少し離れた場所にあるコンビニへ出向きました。 私の住んでいる所ははっきり言って田舎なのですが、昔は街道筋だったので、狭…

沈まぬ太陽

もう10年も前の話だが、裏の世界のようなものを見た事がある。 当時の私は友達のいないぼっち女子中学生で放課後や昼休みは学校の図書館で専ら読書に勤しんでいた。 小さい図書館だ…

天保の飢饉

天保の飢饉(1832~1839年)は、連年の凶作の結果、全国にその影響が及ぶほど凄まじいものであった。 しかも、飢饉は7年間の長きに渡って延々と続いたのであった。鶏犬猫鼠の類まで…

田舎で起きた事件

これは実際に起こった事件にまつわる話。 今から15年前、俺は当時10歳だった。 俺の地元は山形県の中でも更に田舎なところで、ご近所さんはみんな親戚みたいなものだった。 …

教室(フリーイラスト素材)

先生の心当たり

小学5年生の夏休みが明けた9月1日。 始業式も終わり、久しぶりの友達との再会に『自分はどこへ行った』『何を見た』などの話に花を咲かせていると、真っ黒に日焼けした担任の先生が教室に…

お地蔵さん

奇妙な墓石

ある山間の墓地に、墓石と混じって奉られているお地蔵様のような、異様な石が四体並んでいます。これらの石は道祖神のようでもあり、その外見から一種の墓石として扱われているようですが、その形…

旧家(フリー写真)

旧家の古井戸

俺が携わったのは、築100年以上で何世代にも渡って改修工事をして来た家の改築だった。 古く増改築を繰り返しているので、図面も残っていないし、形は不自然。 まずは図面を起こす…

古民家(フリー写真)

木彫りの仏様

母方の祖母が倒れたという電話があり、家族で帰省した時の話です。 祖母は倒れた日の数日後、うちに遊びに来る予定でした(遠方に住んでいるため滅多に来ません)。 その遊びに来るこ…