悪行の報い

公開日: 怖い話

酸素

2年前、私が特別養護老人ホームで介護職員として働いていた時の話です。

この施設は非人道的な職場でした。老人たちを物のように扱う職員が多く、食事に薬を混ぜる、乱暴な入浴介助、抑制が日常茶飯事でした。待遇は良かったものの、人間としての対応ができない環境に耐えられず、多くの良心的な職員が辞めていきました。

特に悪名高い職員が一人いました。Aとします。Aは元ヤクザで、誰もが恐れる存在でした。彼の暴力は常に激しく、認知症や言語障害で反撃できない高齢者を狙いました。

Aが特に標的にしていたのが、Bさんです。言語障害を持つ彼は、受けた虐待を日記に記録していましたが、誰にもその声は届きませんでした。

ある日、Bさんは急変し亡くなりました。驚くべきことに、その夜、Aも心筋梗塞で突如死亡しました。

翌日、Bさんの部屋を整理していると、彼の日記を見つけてしまいました。中には「あいつを地獄に連れて行く」という恐ろしい言葉が記されていました。

その事件の後、私は職場を辞めましたが、退職後に交通事故に遭い、長期の治療が必要になりました。そして最近、地獄でBさんがAを木刀で殴る夢を見ました。

この一連の出来事が偶然なのか、それとも何かの因果なのか、今もその答えを求め続けています。

関連記事

抽象画

神谷のおばさん

俺が中学生の時、『神谷のおばさん』という有名人がいた。 同級生神谷君の母親なので『神谷のおばさん』な訳だが、近所はもちろん同じ中学の奴まで、殆ど神谷のおばさんを知っているほど有名…

海(フリー素材)

海にまつわる妖怪

海に囲まれた千葉県は、昔も今も漁業が盛んな地域である。 海は多くの富を千葉に住む人々に授けて来た。正に恵みの海である。 しかし、海は富を授けるだけのものではない。 優…

肋骨を掴む手

最寄の駅からおいらの会社まで自転車で通っていたことがある。 その日は仕事が結構早めに終わり、少しずつ暗くなる路地裏を自転車で家路を急いでいた。 蒼い宵闇が降りてくる。境界線…

ネットカフェ(フリー写真)

ネットカフェの恐怖体験

ネットカフェを三日間連続で利用したことがあったんだけどさ、36時間以上は連続利用出来ないから一度追い出されるのね。 今までマッサージチェアやリクライニングチェアがある部屋しか使わ…

田舎の風景(フリー写真)

霊感の強い弟の話

高校生の頃、霊感がピークだった弟の話。 弟には小さな頃から霊感の強い友達が居る(仮にAとする)。 その日、学校帰りに Aの家へ遊びに行く途中のこと。 何ぶん田舎なも…

マネキン工場

幼い日、何てことなく通り過ぎた出来事。その記憶。 後になって当時の印象とはまた違う別の意味に気付き、ぞっとする。 そんなことがしばしばある。 例えば。 小学生の…

笈神様(おいがみさま)

その日の夜、私は久し振りに母に添い寝してもらいました。母に「あらあら…もう一人で寝られるんじゃなかったの」と言われながらも、恐怖に打ち勝つ事は出来ず、そのまま朝を迎える事となりました。…

廊下(フリー素材)

コの字の家

私の家は都市から少し離れた町に位置しており、周りには古い日本家屋が立ち並んでいました。 地元の噂では、私の家は元々遊郭だったと言われています。 形状はカタカナの「コ」の字…

疫病神

20年くらい前、高校生の時一人で留守番をしていたら、インターホンが鳴った。 出てみると、乞食みたいなのが立っていて「この家には死神がついている」と言い残して立ち去っていった。 それから…

『さかな』と『みぎ』

その日、友達と近所の公園で待ち合わせをしていた。CDを何枚か借りる約束だった。 季節は今くらいの冬の時期。夕方16時過ぎで、もう薄暗くなりかけだったのを覚えている。 約束の…