4歳年下の妹

公開日: ほんのり怖い話 | 心霊体験

田舎の古民家(フリー写真)

私が中学生の時のことです。

夏休みの終わり頃、白い服を着た女の子が頻繁に家の中に現れるようになったのです。

それも昼夜問わず、私が一人の時にばかり現れるのです。

怖くて母に話したのですが、相手にしてもらえませんでした。

その後も多い時は週に何度も現れるようになり、恐怖も限界になったので再び母に泣きつくと、

「お前には4歳年下の妹が居るはずだったのだけど、流産してしまったんだよ。

だからお前の所に来ているのは、きっとその妹になるはずだった子だろう。

わざわざ会いに来てくれているのだから、怖がらないであげなさい」

このようなことを言われました。

それを聞いて中学生の私は妙に納得してしまい、

『生まれることが出来なかった妹が、私のところに遊びに来てくれたんだなあ』

と考えたら、妙に嬉しかったのを憶えています。

それからは、その女の子が現れても恐怖を感じることもなく、

『気が済むまで遊んで行きなよ』

と思いながら、その女の子を出現するに任せていました。

すると、そのうちに段々と現れる回数が減って行き、とうとう現れたくなったので、

『ああ、気が済んで成仏したんだろうな』

と思って安心していたのですが…。

去年の暮れ、久しぶりに年末年始を実家で過ごそうかと里帰りした時のことです。

ふと思い出してそのことを話題に出したら、母は

「何、それ? あはは!やだ、あなた、本気にしてたの?」

と言うのです。

何でも、あまりにも私が怯えて鬱陶しかったので、口から出任せを言ったのだとか。

ちょっと待て!

やだ、じゃないよ!

洒落になってない!

それでは当時、頻繁に部屋に来ていた白い服の女の子は一体、何だったの!

その正体は結局判らないのですが、そのうちまた現れるのではないかと思うとほんのり恐いです。

関連記事

三面鏡

今はあまり見かけなくなった三面鏡。 この前、実家に帰った時、紫色の布を被せた三面鏡があった。 布を上げてそれを広げてみると、自分の顔がたくさん映ってる。 色んな角度で…

お通夜の日

おじいちゃんのお通夜の日の話です 当時高2の俺は、別に手伝う事も無かったので、準備が終わるまで自分の部屋で音楽を聴きながらまったりとしてたんです。 それでちょっと眠くなって…

廊下(フリー背景素材)

赤いクレヨン

とある夫婦が、非常に安い価格で一軒家を買った。 駅から近くに建っていてなかなか広いので、何一つ不満は無かった。 しかし一つだけ不思議な点があった。 それは、何故かいつ…

お札

金の亡者

以前勤めていた、ある土木調査会社での体験です。少し長いですが。お付き合いください。 東京湾を望む広い埋立地に建っていたその会社は、バブル期の乱開発による不備(地盤沈下や排水不備等…

変わった妹

高校生の頃、いつも喧嘩してた妹がいた。喧嘩といって他愛もない口喧嘩で、ある程度言い合ったらどちらかが自然と引く。 ニュースであるような殺傷事件には到底至らないような、軽い喧嘩だっ…

自首した理由

俺の親戚に元刑務官って人がいる。 その人が言うには、刑務官の仕事って受刑者を監視する事じゃなくて、受刑者に人の温かみを教えるのが本当の仕事らしい。 そんな叔父は時間があれば…

もっさん

うちの病院のカテーテル室(重症の心臓病患者の処置をする場所)には、もっさんと呼ばれるものが出る。 もっさんは青い水玉模様のパジャマを着ており、姿はぼさぼさ頭の中年だったり、若い好…

犬(フリー写真)

愛犬の不思議な話

小学生の頃、ムギという名前の茶色い雑種犬を飼っていた。 家の前をウロウロしていたのを父が拾ったのだ。その時は既に成犬だった。 鼻の周りが薄っすらと白い毛に覆われていたので、…

トタンのアパート(フリー写真)

訳あり物件のおっちゃん

半年ほど前に体験した話。 今のアパートは所謂『出る』という噂のある訳あり物件。 だが私は自他共に認める0感体質、恐怖より破格の家賃に惹かれ、一年前に入居した。 ※ この…

戦時中の校舎

戦時中の校舎

10年前の夏休み、母と一つ上の姉と共に母方の実家に遊びに行った。 そこは集落から少し離れた山の麓にあり、隣の家まで行くのに5分は歩くような場所だった。 当時、私たち姉弟の間…