オカムロさん

7191135336_c7fc20505d_o

うちは母方の血筋が強い親戚は兄を含めて霊感が強いんだが、自分は父方の血が強いのかあまりない。

それで霊感が無いもんだから、怖い話特集とかの雑誌を、枕元に置いて寝る前に読むとか平気でやってた。

その延長線の話で実話を一つ。

死ぬほど怖い話ではないが、みんなも気をつけないと死ぬかもしれないぜ?という話。

よくあるネタで「この話を読んだら、3日以内死ぬ」みたいなのあるじゃん。

定番過ぎて笑い飛ばすような言い回しだけど、実はあれ馬鹿にできないんだよ。

中学生の頃だったかな。

季節は夏で、テレビや雑誌でも「心霊特集」ってのが大流行だった。

友達もみんな怖い話とか大好きで、心霊写真や怖い話が載ってる雑誌を回し読みしてた。

でも、みんなその雑誌や本を持って帰りたく無いんだよな。

おかげで自分は「おまえ平気なんだろ? やるから持って帰ってくれ」って全部押し付けられて、自分の部屋には心霊写真集やら怖い話の雑誌やらが山積みになってた。

自分は全然平気なもんだから、その日の夜も寝る前にお気に入りのページなんかを読んでたんだ。

そのいくつかある短い話の中に、

「この話を読んだらそいつがやってきて、窓をノックするんだ。

その時に呪文を3回唱えないと、部屋に入り込んできて首を切られるぞ」

ってのがあった。

まあ、定番の「特集ページ」みたいなやつで、読み流すような一段落程度の短い話だった。

いつも通り適当に本を楽しんで、そのまま寝ようと横になってた。

しばらくすると、窓から「コツッ、コツッ」って音がしたんだ。

自分の部屋は2階で、車道に面した窓しかない。

ベランダもないし、せいぜい窓枠に小鳥ならとまれるかな?くらいの突起しかない。

最初は鳥かと思ったけど、夜中だし、都会の真ん中で昼間でも鳥が窓を小突くなんてあったためしがない。

窓の方を見てみたけど、カーテンがかかってるし何も見えない。

気のせいかな?とは思ったんだけど、例の話を読んだ直後だったから気にならないわけがない。

空耳だと自分に言い聞かせつつも、目は冴えて、頭の中じゃ例の呪文を必死になって思い出してる。

自分はただただ息を飲んで耳をすませてた。

すると今度はハッキリと「コツッ、コツッ」って窓をノックする音が。

やべーー!!ってさすがに怖くなって、慌てて呪文を3回唱えたよ。

その呪文は、何十年も前の話なのに未だにハッキリと覚えてる。

「オカムロ、オカムロ、オカムロ」

その後は何も起こらなかった。

しばらくして、おそるおそる窓際までに行ってカーテンを開けて確認したけど、もちろん何もない。

家の前はアスファルトの道路で、向かいはガレージ。

夜中は、人が歩いてたら足音だって聞こえる環境だから、誰かのいたずらってのも考えられない。

一体何だったのか未だに判らない。

関連記事

石段

黒い鳥居

これからするお話は、今から20年以上前、僕が中学生の時の話です。 当時の僕は悪い先輩達と付き合いがあり、暴走やタバコ、シンナー等、不良っぽい事をして意気がる田舎ヤンキーでした。 …

山道

途切れさせてはいけない

俺の嫁が学生の頃の話。 オカルト研究サークルに入っていた嫁の友達K子が、心霊スポットについての噂を仕入れて来た。 東北地方某県の山中に、周囲を注連縄で囲われている廃神社があ…

人が死ぬ数分間

人が死ぬ瞬間を見たことがありますか? 私は見ました。人から魂が抜けていく数分間を。 交通事故の現場での話です。数年前のある日の朝、バイクで都心に向かう時のことです。 …

消えたイエロー

誰もが一度は見たことがあるであろう戦隊ヒーローもの。 新人俳優の登竜門的な番組ともなっている。 まだ若いメンバーが多いためか、色々とトラブルも多いと聞く。 その中で一…

東京

地下四階の神棚

東京のとある地区にそびえ立つ高層ビルの地下四階に、ひっそりと神棚が設置されている。このビルはかつて某家の屋敷跡に建設されたことが知られており、地鎮祭で使われたと思われる古銭や土器が建…

コッケさん

私の田舎ではコケシの事をコッケさんと言って、コケシという呼び方をすると大人に相当怒られました。 中学生に上がりたての頃、半端なエロ本知識で「電動こけし」という単語を知ったクラスの…

ゴールの写真

小学生の時に聞いた実話。 ある一人の少年がマラソン大会に出場したんだが、心臓が悪いため速く走ることが出来なかった。 最後尾になりながらも、少年は諦めずに頑張って走った。 …

OK

小学生の頃、学校でコックリさんをやりました。 当時は人面犬や口裂け女など怪しい噂のブーム再燃と言った感じで、TVはもちろん、コロコロコミックなどの児童雑誌でも怪談話が山のように掲…

警察官の無念

年末、某県のフェリー乗り場で船の時間待ちをしていた。寒空の下、ベンチに座って海を眺めていたら、駐車場で妙な動きをしている軽四に気が付いた。 区画に入れたと思えばすぐに出たり、駐車…

ホテル

生け贄

この間、親父が物置の整理をしていて、夕方居間にガラクタの山を積み上げて昔を懐かしんでいた。 ガラクタの中には古着やレコードや陶人形などがあった。 ふと一枚の写真が目についた…