歪みが発生している場所

z3184_by_fractamonium-d60qhnr

確か小学2年の頃の話。

クラスで仲の良い友人が、

「すごい場所があるんだよ!今日行こうぜ!」

と言うので付いて行った。

そいつは普段から「宇宙人を見た」などと言うやつだから、あんまり期待せずに行ってみた。

場所は…なんと言うか小山の頂上に公園があり、公園の入り口の反対側の柵を越えた坂。

よくダンボールで滑った記憶がある。その下は大きな道路だった。

それで、その坂の一部に、芝生が枯れて地面が露出している所があり、友人はそこを指差した。

俺は一人でその場所に行ってみたが、特に変化なし。

なんだと思い暫く一人で下の道路を走る車をボケーッと眺めていた。そしたら友人がポンポンと肩を叩き、その場所から移動させて

「もう帰ったほうがいいよ」

と言った。

よく見るともう夕方になっていた。その日は土曜で飯も食べずに学校から直接来たから、どう考えても13時にはその場所に着いていた。

しかしもう18時近かった。

『あれ??』と訳が解らなくなった。友人に言っても、

「なっ!不思議だろ!」

と言っただけだった。

家に帰って飯を食べながら家族に話したりして、布団に入って寝ようと思ったらハッと気付いた。

あの場所は完全な『無音』だったんだと。目の前を車が何十台も走っていて、公園では子供が大勢遊んでいるのに。

しかも、時間の感覚も狂ったみたいだった。日が傾くのも全く気付かなかった。

次の日、友人がまた行こうと言ったけど、俺は怖くなって行くのをやめた。

その夜、友人の母親から「息子が帰ってこないのですが、お宅にお邪魔してませんか?」と電話がかかってきた。

急いで俺の親と友人の親でその場所に行くと、友人が一人で座って道路の自動車を見ていた。

凄く怖くて親に泣きながら説明したけど、信じてもらえなかった。

もし友人が俺にも教えずにその場所に行っていたら…と今でも怖く思う。


note 開設のお知らせ

いつも当ブログをご愛読いただき、誠にありがとうございます。
今後もこちらでの更新は続けてまいりますが、note では、より頻度高く記事を投稿しております。

同じテーマの別エピソードも掲載しておりますので、併せてご覧いただけますと幸いです。

怖い話・異世界に行った話・都市伝説まとめ - ミステリー | note

最新情報は ミステリー公式 X アカウント にて随時発信しております。ぜひフォローいただけますと幸いです。

関連記事

霧島駅

実際にその駅には降りていないし、一瞬の出来事だったから気の迷いかもしれないけど書いてみようと思う。 体験したのは一昨日の夜で、田舎の方に向かう列車の中だった。 田舎と言って…

夜の病室

ハセベさん

小学1年生の時に病気で入院し、夜中に病棟で毎晩のように泣いていた。 泣き始めるとすぐに看護婦さんが来てくれて、寝つくまで一緒に居てくれた。 ハセベさんという看護婦さんで、…

死臭

人間って、死が近づくと死臭がするよね。 介護の仕事をしていた時、亡くなるお年寄りは3、4日前から死臭を漂わせてた。 それも、その人の部屋の外まで臭うような、かなりハッキリした臭い…

江戸時代にタイムスリップ

思い出すと身の毛もよだつが、話さずにはいられないので書いてみる。 平成20年の6月24日、外回りの仕事で顧客名簿を片手にH市内を走り回ってた。 この日は梅雨独特のジメジメした気温で、汗…

銀杏の木(フリー写真)

止まった時間

私が小学校3年生か4年生の時のことです。 友人5人と神社の境内で『ダルマさんが転んだ』をやっていました。 小学校の帰りに道草をくって、そこいらにランドセルを放って遊んでいま…

わかったかな?

多分、幼稚園の頃だと思う。 NHK教育テレビで、人形とおじさんが出てくる番組を見ていた。 おじさんが 「どう?わかったかな?」 と言ったので、TVの前で …

ワームホールの出現

私が二十歳になって初めての選挙の時のことだから9年程前の話です。 その日の朝、初めての選挙で投票に行ったんです。 投票所が私の母校の小学校の体育館で、そこに入るのは卒業式以…

年賀状をくれる人

高校生の時から今に至るまで、十年以上年賀状をくれる人がいる。 ありきたりな感じの干支の印刷に、差出人の名前(住所は書いてない)と、手書きで一言「彼氏と仲良くね!」とか「合格おめで…

死後の世界への扉

これは母から聞いた話です。 私の曽祖父、つまり母の祖父が亡くなった時のことです。 曽祖父は九十八歳という当時ではかなりの高齢でした。 普段から背筋をぴんと伸ばし、威厳…

犬(フリー写真)

愛犬の不思議な話

小学生の頃、ムギという名前の茶色い雑種犬を飼っていた。 家の前をウロウロしていたのを父が拾ったのだ。その時は既に成犬だった。 鼻の周りが薄っすらと白い毛に覆われていたので、…