繋ぎ目
中学生の頃の夏の話。
そろそろ夏休みという時期の朝、食事を終えてやっとこ登校しようと、玄関に向かったんだ。
スニーカーのつま先を土間でとんとんと調整しながら引き戸の玄関をガラガラって開けたら、そこが玄関だった。
玄関から出たはずなのに、目の前には土間があり、さっきまで自分がいた玄関がそこにある。
不思議に思いながらも、遅刻するから急ごうとそのまま後ろを振り向いたら、そこも玄関。うちの玄関と玄関が引き戸一枚で繋がってる状態。
そんな訳が解らない状態に不安になって、2つの土間を行き来しながらどうしたらいいか考え、とりあえず玄関をいったん閉めてみたんだ。
それでもう1回玄関を開けたら、そこは普通に外だったんだけどさ。
でも多分、俺は逆の玄関の方から外に出ちゃったんだよね。
それから何か全部微妙に違う。
友達に里中なんていなかったし、北海道なんて県なかったし、「む、あ、い」こんなひらがなは存在しなかった。信号は赤・白・紫だったし、中国・韓国・台湾・北朝鮮は1つの国だったし、ハワイは日本の領土だったし、なんか違うんだよ。
もう慣れちゃったけど。