神に愛されるということ

wallpaper398_640_1136

私は占い師に「長生きできんね」と言われたことある。理由も聞いた。

「あんた、大陸に行ったことあるだろう? そこで憑かれたんだと思うけど、悪霊なんてもんじゃない。神に近いから、まず払えないし、どこに行っても障ることを恐れて何もできないよ」だとか。

確かに、仕事で中国に数年住んでいた。

「まあ、日本にいる限り、息子さんが成人するまでは持つよ。あんたの背後に白狐が見える。

これが強いし、あんたの家系、将門信仰してる者がいるからね。お祖父様お祖母さまに感謝することだ。

……それと、叔母さんかな? 修道院にいる人もいるねえ。彼女も遠くからあなたを守っているよ。……でも、あと数年だね」

息子、もう15歳なんですが。あと5年でこの世とさよなら?私の不審そうな顔に、占い師は続けた。

「あんた、過去に手の筋切って何かできなくなってない?」

確かに。ジャズピアノをやっていてそこそこ仕事もあったが、交通事故の後遺症で今、左手があまり動かず、ピアノなんてもうとても無理な状態である。

「それは持って行かれたんだよ。でも命だけは、あんたを守る人たちに救われた。でも、次は全て取る、と言っているよ。……ごめんねえ、不快な事ばかり言って」

占い師はそう言って、私から料金を取らなかった。

あと5年でこの世から去る? にわかに信じられなないし、今も信じてない。

ところが、その占い師は「当たる」と評判だそうだ。割と高額な見料も、あんなに長時間話したのに「残りの人生に使いなさい」と貰わなかった。

帰宅後、夫と子供に話した。信じてないけどと言いつつ

「私が死んだら、あななたちが心配で……」と言ったら、夫も子供も

「それは自分たちが乗り越えること。おかんは心配しないで、残りを好きに使っていいよ」と。

今のところ病気などは無い。でも人は何で死ぬか分からない。

ちなみに、後日、ある有名神社にお払いの相談をしにいったら占い師の言った通り、

「神様にはできる限り障りたく無いんです。こちらの命も危ないですから」と。

「すいません、どんな神様が憑いてるって?」

「……地獄の神様です。あなたの左手を持ってます。……日本の神様ではありませんね」と。

回避方法無しと言われたのだが、神主さんには

「でも基本的に自分はあまり信じてないんです。私には見えませんから」と言ったところ

「そういう強い気持ちも大事ですよ」だとか。

「なんで私なんでしょう?」

「人と同じですよ。好みなんです。昔から、神様に愛されると長生きできないと言いますね。あれと一緒ですよ」

いや、そんな若くも無いですしと言ったら「寿命からしたら充分若いですよ」と。

実家のお稲荷様と、近所の将門神社には毎日詣でている。

でも、最近、右肩が重いことに気がついた。そして、もともと夢などあまり見ないのに、夢を見るようになった。

どこかの屋敷で、ピアノをずっと弾き続けている夢。動かない左手が動くのは気分がいい、ずっとここにいたいと思う。

「ずっといてもいいんだよ」と、背後から右肩に手を置かれ、目が覚める。

いつかこのまま、目を覚まさなくなるのだろうか。信じてないと言い切りたいが、全くの他人二人に言われるとちょっと怖い。

まああとは人に迷惑をかけない死に方ができるようにかな。

一応死後は墓には入りたくないので散骨をおねがいしてる。そんなもん(献体とか臓器提供も遺言にあるのだが、夫と息子が嫌だと言ってるので多分無理)。

でもさあ、神様が連れて行くならもっと高名なピアニストとかじゃないのー? と。それすら好みなのか? そのあたりがワカラン。そこまで愛されるほどの容姿とも思えないしなあ。

ま、5年たってぴんぴんしてたら、その占い師と神主にはケチつけに行きますわw

でも信じて無くても「もうすぐ死にますよ」ってのは、精神的に堪えるね。

その後、読者の反応を受け、二度目の投稿

心配下さってる方ありがとう。

ここに書けば何か対策でもあるかなー? という気持ち半分と自分もまるきり信じているわけではないのでどうなのかな?という気持ちと半々なんだよね。

臓器移植は確かに憑いていくとまずいかもしれませんね。やめておきます。臓器の健康にはすっごい自信があるので勿体ない気もするけど。

他の占い師に、顔見るなり「帰ってくれ、悪いけど見られない」と言われたこともあるのでじわじわ怖くなってきている。

でもあと5年と言われたところで病気でもないし、じゃあ何をするかというと、日常を淡々とこなしていくしかないんですよね。

実家では、私が交通事故にあったときに、仏壇の観音様がまっぷたつに割れたそうです(修理済み)。

実家については占い師さんの言ってることは全て大当たりです。なんだかあっちこっちに守って貰ったり連れて行かれそうになったり。

まあ、本当に夢を見ながらそっと死ねればいいかなあと思う反面、絶対5年後に生きてるぞ!このエセ占い師め!とそこに怒鳴り込むwことも考えています。

5年後、生き抜けたらここに宣言しに来るので。では。

数年後に再登場し、以下の投稿を残す

覚えている人らっしゃるかな。

占い師に「とりついているもののせいで長生きできない」と言われた者です。

最後に書き込んだのが多分2009年の夏頃だったと思うのですが無事生きています。

そして、自分でもびっくりなんですが、来年成人する息子の下に、もう一人男の子が生まれました。

高齢出産ながら安産で、いま3ヶ月の赤ちゃんも健康優良児です。右肩も相変わらず重く、左手は以前のまま。

赤ちゃんを抱っこするのにも気をつけないといけないんですが、無事です。

相談していた神主さんに昨年の震災の後の妊娠を告げたときに「寿命が延びましたね」と言われました。

もしかして、もう一人「息子」が生まれたから「息子が成人するまで」の期限が延びたってことなのだろうか? と思ったが詳細確認しませんでした。

神主さんが言うには「母親って強いんだけど、子供が小さければ小さいほどパワー全開だから、病気とか事故とか物理的な災難はどうしようもないけれど、この手のものは大概はじくよ」だそうで。

夢は見続けていますが赤子の夜泣きで中断されることも多く、舌打ちされます。

夢は思い込みじゃないのかなあ? 本当は夢に意味なんかないんじゃないのかなあ? と思うけど、夢の中では両手が動いてとても気分がよく、もうあんなに弾けるはずないのにまだ腕が落ちていない気がしたりしてる。

でも、絶対に来年に死ぬ気はしなくなってきた。

気にしていてくれた人が何スレか前にいたので、無事出産を待っての報告でした。レスくれた人ありがとう。来年の2月に生存報告に来ます。

それで最後にしますね。死んでたら報告できないんで「死んだら頼む」の人はすみませんです。

その後、現在まで書き込み無し

関連記事

階段(フリー写真)

ソマコ

学生の時に体験した話。 授業後にサークル仲間4人とクラブハウスでダベっていたのだが、夏だったせいかいつの間にか怪談話になっていた。 ただどれもこれも有り触れた持ちネタばかり…

旅館(フリー素材)

お気遣い

私は趣味で写真を撮っています。 主に風景ばかりで、休みが取れた時は各地を回っているのですが、その時に宿泊した民宿での体験です。 ※ その日、九州の方に行っていたのですが、天候…

見覚えのある手

10年前の話だが、俺が尊敬している先輩の話をしようと思う。 当時、クライミングを始めて夢中になっていた俺に、先輩が最初に教えてくれた言葉だ。 「ペアで登頂中にひとりが転落し…

田舎の風景

白ん坊

このお話の舞台は詳しく言えないけれど、私の父の実家がある場所にまつわるお話。 父の実家はとにかくドが付く程の田舎。集落には両手で数えきれる程しか家がない。 山奥なので土地だ…

渦人形(長編)

高校の頃の話。 高校2年の夏休み、俺は部活の合宿で某県の山奥にある合宿所に行く事になった。 現地はかなり良い場所で、周囲には500~700メートルほど離れた場所に、観光地の…

優しい抽象模様(フリー素材)

ともだち

最近、何故か思い出した。子供の頃の妙な「ともだち」。 当時の自分は両親共働きで鍵っ子だった。とは言っても託児所のような所で遊んで帰るので、家に一人で居るのは一時間程度。 そ…

教室(フリー素材)

M君の記憶

中学二年の終わりに引っ越す事になった。 引っ越しの前日、家の前を同級生のM君がブツブツ独り言を言いながら歩いているのを見つけた。 M君とは幼稚園から中学二年まで同じ学校で、…

時空のおっさん

消えた朝

それは、私が8歳の頃に体験した、今も忘れられない出来事です。 我が家は商店街の一角にある魚屋で、年中無休で営業していました。 ある日、目を覚ますと、家の中には誰もいません…

硫黄島の星条旗(フリー写真)

硫黄島の心霊体験

私が二年前、自衛隊基地の施設建設の為、硫黄島へ半年赴いた時の話。 数ヶ月も島に閉じ込められると、自然と顔見知りの隊員さんが出来る。 色々と話すうちに、よく硫黄島にまつわる…

ろうそく(フリー写真)

蛇を奉って欲しい

昔、化粧品店とエステサロンを兼ねた店に働いていた。 事情があり、店長の家に住み込みすることになった。 いつも店長は遅く出勤して来た。 「頭が痛い」「体が重い」と口癖…