お地蔵さん

蝋燭(フリー写真)

私の地元では年に2回「お地蔵さん」という行事と言うか、お寺のお参りイベントみたいものがあるんです。

あるお寺に行き、あの世で幸せにしていて欲しい亡くなった方の名前を読み上げて、ろうそくをあげてもらうというものです。

それなりに有名な行事らしく、色々な所から参拝客が来て、最寄ローカル駅が大行列で混み合い、交通規制もされます。

何でも、亡くなってから何年間か、毎回ろうそく(お蝋と呼びます)をあげにお参りすると、人混みの雑踏の中で亡くなった方に出会える、という言い伝えがあるのです。

私は以前は年に2回、毎回行っていたのですが、大人になってからはそう予定も合わず、先日久しぶりに母と父と3人で行きました。

お寺に行くまでに歩いている時に私が、

「昔、おじいちゃん(母方)が亡くなって何年ぐらいか分かんないけど、ほんっとうにおじいちゃんにそっくりな人と、すれ違ったことがあるよ。後姿も、服装も髪型も、本当におじいちゃんだった」

と母に言ったら、母も父の弟(私の叔父・7年前に他界)が向かい側から歩いて来るのを目撃し、思わず

「○○さん!?」

と声をかけてしまったことがあるそうです。

そして通り過ぎ振り向いたらもう居なかったとか…。

しかも、亡くなった時のやつれた姿でなく、元気だった頃のふっくらした叔父だったそうです。

結構な人数がお参りに来られるので、もちろん他人の空似という可能性もあるでしょうが、もしかしたらその人混みに紛れて親族に姿を見せに来る仏さんがいるんじゃないかな、なんて思っています。

関連記事

医師(フリー写真)

夢の中の治療

俺の従兄弟の話を一つ。 非常に仲の良い従兄弟が、25歳の時に末期がんになった。 人間として凄く見応えのある人物だっただけに、身内一同とても落胆した。 従兄弟には当時付…

田舎の風景(フリー写真)

掌を当てる儀式

この間、ずっと忘れていた事を思い出しました。 前後関係は全く判らないのですけど、子供の頃に住んでいた小さな町での記憶です。 他の五人くらいの子供と、どこかの家の壁にぎゅーっ…

椅子(フリー写真)

おかんの夢

おかんが癌で亡くなって6年になる。 癌を見つけた時にはもう余命一年の宣告。 親父と相談の上、おかんには告知しなかった。一年間、騙し続けた。 私はその時、二番目の子供を…

おばあさんの手(フリー写真)

嫁姑

10年程前、祖母が死去。死因は肺炎。寝たきりの老人の方には多いらしい。 祖母は亡くなる三年程前から痴呆が始まり、徘徊したり家中で排泄したり大声を出したり、それは大変だった。 …

8周目

俺には、幼馴染の女の子がいた。家も近くて親同士の仲も良く、俺とその子も同い年ってこともあって小さい頃から一緒に遊んでた。 まあ、大体そういう関係ってのは、歳を取るにつれて男の側が…

巻き戻った時間

記憶から消えない記憶

子供というのは、混乱すると訳の分からない行動をとってしまうものだ。 これは、幼い頃の自分に起きた、今でも信じがたい不思議な出来事である。 ※ 当時は5月の節句。 …

タイムスリップ(フリー素材)

時を隔てた憑依

最近ちょっと思い出した話がある。 霊媒体質の人には意識が入れ替わることがあるらしいけど、これは意識がタイムスリップして入れ替わったとしか思えない話。 ※ 数年前、ある人に連れ…

ビル(フリー写真)

お迎え

二ヶ月前、以前在籍していた会社の社長が亡くなった。 就職の決まらなかった私を拾ってくれて、生まれて初めての『回らない寿司』を食べさせてくれた。 癌で入院しているのは知って…

玄関

マンデラ効果

これは私が中学生の頃、夏休みを目前に控えた、蒸し暑いある朝の出来事です。 朝食を終え、のんびりと準備を整えて玄関に向かいました。 スニーカーのつま先を土間にとんとんと叩き…

ダル

小学校の頃、家族で山に行った時の話。 俺はふとしたことで山道から外れ、迷子になってしまった。 山道に出ようとしたけれど、行けども行けども同じような風景が続く。 そのう…