息子を迎えに来ますからね

公開日: 不思議な体験 | 心霊体験

抽象画

知人のおばあさんは我が強くて恐い人だけど、自分の母親の話をする時だけは顔つきが穏やかになる。その人から聞いた昔話が原因の出来事。

そのおばあさんの母親(仮にAさんとする)は、おばあさんを含め6人の子どもを産んだ。

6人目の男の子どもが2歳の頃に、Aさんの実母が病弱で、危篤を報せる電報が来たそうな。

けれど直ぐには実家に帰ることが出来ず、実家に帰ることが出来た時には、実母は亡くなっていたらしい。

Aさんは元来気が強く、性格もきつい人だったらしいが、実母の死に目に立ち会えなかったことが悲しくて、夢でも良いから会いたいと願っていたそうだ。

そんなある日、願いが叶って母親が夢に出てきた。

ところが、夢に出てきたのは実母ではなく、旦那の母親、つまり義母(姑)に当たる人。

しかしこの義母は、旦那が14歳の頃に既に亡くなっていて、Aさんは写真でしか知らない。

その義母が夢に出てきてこう言った。

「49歳になったら息子を迎えに来ますからね」

当時Aさんは40代前半で、旦那さんは47歳だったとのこと。

子どもが6人居て、一番下の子がまだ2歳だったAさんは、

『まだ主人を連れて行かれては困ります。

どうか下の子が一人前になるまで迎えに来るのを待ってください。

私はその為なら、不足を言いません。

これからは人に尽くして生きます』

と誓いを立て、毎日仏壇に手を合わせながら祈り続けた。

自分の幸せなんて顧みず、時には訪問販売などの詐欺に遭ったりしても、人に蔑まれたり厭がらせを受けたりしても、

『人を恨んだらその分、自分に返ってくるかも知れない。

私の所為で主人の寿命が縮まるかも知れない』

と思い、それまでの気の強さが嘘のように慎ましく生きたらしい。

当時、子どもが一人前になるというのは、成人するということではなく、結婚して家庭を持つということ。

それから20年後、22歳の春に結婚した下の子どもを祝った年の秋口に、突然何の前触れもなく、旦那さんは亡くなったという。

つまり、67歳まで生きた訳だ。

旦那さんが亡くなったのは悲しいことだったが、義母が祈りを聞き届けてくれたのかと思ったAさんは、それからも自分の生き方を変えることもなく、90歳くらいまで生きたらしい。

そんな話を突然聞かされ、訳が分からないまま自分は、

「はあ、そうですか、凄い話ですね」

と相槌を打っていただけなんだけど、ぶっちゃけどうでも良かった。

そして、話を聞いたその後、友人(仮にBとする)の家にそのままの足で行った。

友人Bの家は、お婆ちゃんが昔お祓いする人だったとかで、客間兼仏間には物凄く大きな仏壇があるんだけど、いつお邪魔しても何だか仏壇が大きすぎて緊張し落ち着かない。

友人Bの母親は気質の優しい人で、霊とかそういうものが目で見える訳じゃないけど、何かが居るとか気配で敏感に感じる人だという。

いつものように友人の家に行き、客間(仏間)に勝手知ったるで入って行った時、その和室の敷居を跨いだ瞬間に身体から力が抜け落ちてしまって、何故かその場に座り込んでしまった。

『何だこれ?』と疑問に思ったし、意味が分からないし、でも立ち上がる気力も無いしで戸惑っていたら、Bの母親が部屋に入って来て、

「○○(私)ちゃん、うちに来てホッとしたでしょう。何処からか沢山引き連れて来てた。

全部お婆ちゃんが落としてくれたわよ」

と言う。

そしておばさんに肩を叩かれた後、いきなり身体が軽くなって立ち上がることが出来た。

そう言えば知人のおばあさんと別れた後から、何だか身体が重いなと思っていたことに気付いたんだ。

しかし、Bのお婆ちゃんはもう亡くなっているんだけどな。まさか仏間に居るの?

自分は霊感とか一切無いので、何だか不思議な体験でした。

関連記事

綺麗に揃えられる靴

小学校の頃、近所にお化け屋敷と言われている家があった。 まあ、実際は屋敷という程でもない少し大きめな日本家屋なんだが、小学生の言うことだしな。 その日は両親共に帰宅が遅くな…

シドニー

前世の地

去年、オーストラリアのケアンズ郊外をレンタカーで走っていた際、奇妙なデジャヴを感じました。『ここ、来たことがあるような…』と思いながら、海岸へと続く道を曲がりました。独特のロータリー…

東京ビッグサイト

異次元のコスプレイベント

12月の中旬に、恐らく『時空のおっさん』に関連する体験をしました。これは創作ではなく、確かに体験した実話です。 私はコスプレイヤーで、その日は友達と4人で地元のコスプレイベント…

もどれと言った女性

もどれ

それは、まだ母が幼かった頃のことです。 当時、母は家族とともに、ある団地に暮らしていました。 その団地で体験した、今も語り継がれる奇妙な出来事があります。 ※ …

次元の歪み

先に断っておきます。 この話には「幽霊」も出てこなければいわゆる「恐い人」も出てきません。 あの出来事が何だったのか、私には今も分かりません。 もし今から私が話す話を…

ファミレスのバイト

ファミレスでの俺のシフトは、普段は週3日で17時~22時と日曜の昼間。 肝試し帰りの客の一人が、憑いて来た霊らしきものを勝手に店に置いて行った後での出来事。 ※ マネージャー…

窓(フリー写真)

霊道

私は山奥の田舎に住んでいるのですが、子供の頃に体験した話をしたいと思います。 小学生も低学年の頃は親と一緒に寝るのが当たり前ですが、高学年になってくると、やはり自分の部屋が欲しく…

空

雲の上の記憶と真紅の花

数年前、私は今でも忘れられない不思議な体験をしました。 それは、家族旅行でキャンプに出かけた際の出来事です。 キャンプ場のテントを離れ、弟と二人で少し奥の林の中で遊んでい…

コンビニ

大晦日の白い影

1999年の大晦日、深夜の出来事です。 私は煙草を買うため、少し離れたコンビニへ出かけました。 住んでいる地域は田舎で、昔の街道筋を思わせるような古めかしい木造建築の家が…

機関車(フリー写真)

電車の幽霊

埼玉の三郷に操車場跡という所があります。地図にも載っています。 心霊スポットとしては途中のお化けトンネル(化けトン)が有名ですが、体験したのはその近くの建物です。 操車場は…