恋人との思い出

カップル(フリー素材)

怖いと言うより、私にとっては切ない話になります…。

私が高校生の時、友達のKとゲーセンでレースゲームの対戦をして遊んでいました(4人対戦の筐体)。

その時、隣に二人の女の子が座って来て「一緒にやってもいいですか?」と聞かれ、今までこんな事は無かったので少し驚きながらも一緒にゲームをしました。

そしてゲームが終わり、ナンパ目的ではなかったんですけど(金も全然なかったんで…)結局ナンパモードになり、上手いことカラオケに行って仲良くなりました。

家の方向も一緒らしいので、また遊ぼうとPHSの番号を交換し、その日はそのまま帰りました。

次の日、学校へ行くとKが「俺、昨日の娘好きになっちゃったよ」と相談を受けました。

俺もまんざらではなかったので早速「学校終わったら会おうよ!」と電話しました。

そして結構良い感じになってきて、それ以来は殆ど毎日遊ぶようになりました。

俺はすぐに俺のお目当ての娘と付き合い始めました。

Kも相当良い感じになってきて、4人で会う事より2人で会う事の方が多くなってきましたが、凄く楽しい日々でした!

ある時、4人で遊園地へ行く約束をして、結構楽しみにしていました。

でもKの相手の方から「私たち行けない」というメールが入り、理由が解らなかったので電話をしてみると、

「この番号は現在使われておりません」

とのメッセージが流れてきました。

ほんの数分前までメールしていた電話がいきなり加入者無し!

これはマジでビックリしました…。

それでKが相手の実家の番号を緊急のために聞いていたので掛けてみると、お父さんが出ました。

「○○さんの友達のKと申しますが、PHSが繋がらないので…」

と言うとお父さんが急に怒り始めたらしく、Kが困った表情になってきました。

それからどんどん顔色が悪くなってきて、

「で!でも俺達は…」

と、いきなり自分達の出会いから関係までをお父さんにべらべらと喋り始めました。

俺はおかしいなと思いながらも電話が終わるのを待ち、詳しく話を聞いてみると、俺の彼女もKの彼女も2ヶ月前に水難事故で亡くなっているとの事でした。

俺もKもそんな話ははっきり言って信じられなかったので、その時に聞いた住所に行って確かめてみました。俺の彼女の家にも行きました。

本当にもう居ませんでした。俺達が知り合う一ヶ月も前に亡くなっていました…。

俺の彼女の実家にも行き、お母さんに俺のPHSの履歴やメールを見せると、泣きながら最後のメールを見て

「この日に私が解約しに行ったんです」

と言ってくれました。

私もぼろ泣きでした…。

不思議と怖いという感情は無かったです。ただ辛くて切なくて…。

Kと二人で彼女達の事故現場へ行き、二人で無言で泣いてしまいました。

彼女は何かある度に涙を見せたり、ヤキモチを妬いたりと、今思い出しても本当に大好きでした…。

俺達は普通の恋人のように手も繋げば、キスも何度もしました。本当に普通の恋人のように…。

もっと前に彼女と知り合いたかったです。こんな形ではなく…。

これは俺とKと二人の不思議な体験です。

高校時代の大切な思い出でもあります…。

何だか怖くない話になりましたが、後にも先にも不思議な体験はこれしかありません。

関連記事

自転車置き場(フリー写真)

幽霊を持って帰る

私の叔母が、大型ショッピングモールで清掃のパートをしていた時の話。 オープン当時から一年ほど経ってはいたものの、建物も設備もまだまだ綺麗で、田舎の割に繁盛していた。 しかし…

トンネル(フリー写真)

壁の向こう側

トンネルで不思議な現象に出遭った。 そんな話をよく聞くのだが、実は私にもそんな経験がある。 この時期になると思い出すのだ。 ※ ちょうど冬休みに入った日のこと…

もう5、6年前かな?確か秋も過ぎて12月だかそんくらいの時期。 前日に早く寝たから、その日はやたらと早く目が覚めたのよ。 だいたい日の出の直後くらいだったと思う。起きたとい…

天井裏

不可解な手紙

去年の暮れ、私が勤める編集プロダクションに一通の手紙が届きました。私宛ての名指しの手紙で、エッセイの添削と執筆指導を求める内容でした。 初めての事態に不信感を抱きながらも、返信…

古書店(フリー写真)

消えた友人

先輩と二人で仕事場に泊まり込んでいた日、休憩中にその先輩が聞かせてくれた話。 先輩曰く「友人に会えなくなった」らしい。 最初は単に仕事が忙しいからなのではないかと思ったのだ…

硫黄島の星条旗(フリー写真)

硫黄島の心霊体験

私が二年前、自衛隊基地の施設建設の為、硫黄島へ半年赴いた時の話。 数ヶ月も島に閉じ込められると、自然と顔見知りの隊員さんが出来る。 色々と話すうちに、よく硫黄島にまつわる…

愛猫の最後の挨拶

うちの両親が体験した話。 もう20年も前の夏のことです。 私達兄弟が夏休みを利用して祖父母の家に泊まりに行っていた夜、当時とても可愛がっていた猫がいつまで経っても帰ってこな…

インフルエンザウィルス(フリー素材)

高熱とアリス症候群

去年の年末、俺がインフルエンザで倒れていた時の話。 42度という人生最高の体温で、意識もあるのか無いのか分からない状態で俺は寝ていたのだが、尿意に襲われてふらふらと立ち上がった。…

ベニヤを突き破って手首が……あれ!? 抜けなくなった…???

たぶん怖くないけど自分的には嫌だった話。 帰り道に、赤錆びて穴だらけのベニヤ張りの物置みたいな建物がある。周りに新築マンションが増えてるからかなり浮いた感じ。 で、ゆうべ遅…

ワームホールの出現

私が二十歳になって初めての選挙の時のことだから9年程前の話です。 その日の朝、初めての選挙で投票に行ったんです。 投票所が私の母校の小学校の体育館で、そこに入るのは卒業式以…