綺麗な飾りの下
父が友人の家に遊びに行くと言うので、私は一緒に付いて行きました。
私は小学二年生でした。父の友人というのはお寺の住職さんでした。
父達が話している間、退屈になった私は、人気のないお寺の本堂に入り込みました。
天井から綺麗なきらきらした傘のような飾りが吊るしてあり、私はその飾りを見ていたのですが、いつの間にか眠り込んでいたらしいのです。
夢うつつに何かに引っ張られるのを感じましたが、眠気に負けて、そのまま眠っていました。
※
私は父の笑い声で起きました。
私が居なくなったので皆と一緒に探していたら、本堂で寝ていたのであきれたそうです。
起きてから私は眠り込んだ時とは違う所に居る事に気が付きました。
私は本堂の端の方に居ました。
「綺麗な飾りの下に居た」と言いましたら、父と一緒に笑っていた住職さんが、急に真剣な顔になって言いました。
「あの飾りの下はね、お坊さんの場所なんだから、もう入り込んだら駄目だよ。
知らずに居たら、仏さんがやって来て、どかされるからね」