死期を悟る子

公開日: 不思議な体験

幼稚園児(フリー写真)

小学校に上がる前の小さな男の子の話です。

その子が通っていた幼稚園で乗り物をテーマに絵を描くことがあり、子供達はそれぞれ船や飛行機、車などの絵を描きました。

小さな子供の描く絵は大抵、真横からなどの単純なアングルの絵が多いものですが、その男の子の描いた絵は青いトラックを斜め下から描いた、少し不思議な絵だったそうです。

また、小学校に入学するということで学習机を買ってあげるということになり、お店で好きな机を選ばせようとしましたが、

「僕には机は要らないんだ」

と寂しそうに言って選ぼうとせず、変なことを言う子だと家族も不思議がったそうです。

やがて小学校の入学が近付き、通学の練習ということで、おじいちゃんに連れられて小学校までの道を散歩することが度々ありました。

その時ランドセルを背負わせようとしましたが、なぜかランドセルを背中ではなく胸の方に背負うのでした。

おじいちゃんが何度背中に背負うように教えても、

「僕はこれでいいんだ」

と言って変えようとしなかったそうです。

そして小学校の入学を目前に控えたある日、その男の子はトラックに撥ねられて亡くなりました。

棺に入れられたその子の胸の上には、家族によってランドセルが置かれていたそうです。

関連記事

階段の角

当時俺が小3、弟が5才ぐらいだったかな。 そのとき一軒家に住んでて、弟と両親が一階、俺一人が二階で寝てたんだ。 家が古いせいか、かなり家鳴りみたいなのがするんだよ。ガキだっ…

時間停止

小学生の時の話。 昼休みの校庭で、10秒ほど周囲が1/10秒シャッターで写真を撮ったように止まったことがあった。 単に止まったのというのは少し違う。慣性の法則を無視してピタ…

白猫(フリー写真)

先導する猫

小学生の頃、親戚の家に遊びに行ったら痩せてガリガリの子猫が庭にいた。 両親にせがんで家に連れて帰り、思い切り可愛がった。 猫は太って元気になり、小学生の私を途中まで迎えに来…

綺麗に揃えられる靴

小学校の頃、近所にお化け屋敷と言われている家があった。 まあ、実際は屋敷という程でもない少し大きめな日本家屋なんだが、小学生の言うことだしな。 その日は両親共に帰宅が遅くな…

不敬な釣り人の顛末(宮大工11)

とある休日、久しぶりにオオカミ様の社へと参りに出かけた。 途中、酒を買い求めて車を走らせる。 渓流釣りの解禁直後とあって、道には地元・県外ナンバーの四駆が沢山停まっている。…

隠し部屋

20年以上前の話なのですが聞いてください。 友人が住む三畳一間月3万円のアパートに遊びに行ったときのことです。冬の寒い日でしたが、狭い部屋で二人で飲んでいるとそこそこ快適でした。…

何で戻ってくるんだ

3年程前の話。私は今でも、バイク好きで乗ってるんですけど、3年前は俗に言われる走り屋って奴だったんです。 その時行ってた峠の近くに湖があって、そこに大きな橋がかかってるんです。 …

失われた時間

2001年の秋。 風邪ひいて寒気がするので、大久保にある病院に行くため西武新宿線のつり革につかまってた。頭がぐわんぐわんと痛みだして、ギュッと目を閉じて眉間にしわ寄せて耐えてた。…

田舎の風景(フリー写真)

ダッガコドン

去年、私は仕事で失敗が続いていた。 厄年は来年なのに何故だろうかと調べた末、前厄という存在を始めて知った。 すぐに会社に三連休を貰い、遠い田舎の実家まで帰省をすることに。 …

女性の後姿

勘の鋭い姉の話

一年前から始めた一人暮らし以降、私は不眠症に悩まされるようになった。数ヶ月前、普段霊などには触れない勘の鋭い姉が遊びに来た時、彼女は「ここ住んでるんだ。そうかそうかなるほどね」と何や…