イケモ様

tumblr_m1wxx0OY2I1qe959eo1_1280

昔ばあちゃんの家に預けられてた時、後ろの大きな山にイモケ様って神様を祭る祠があった。

ばあちゃんの家の周りには遊ぶ所も無く、行く所も無かったから、その祠の近くにある池でよくじいちゃんと釣りをしていた。

ある日、じいちゃんとばあちゃんが町に買い物に行くので俺一人で留守番する事になったんだけど、する事が無かったので一人釣りに行く事にした。

実はその池に行くのには凄く遠回りをする必要があるが、2人ともいなかったので抜け道をする事にした。

その抜け道はちょうど、となりのトトロでメイが潜っていったような所で、人一人抜けられる場所だ。

でも、じいちゃんもばあちゃんも絶対通ってはいけないと言っていた。

入り口を囲むように石が並べてあったが、子供な俺はそんなのお構いなく入って行った。今思うと完璧に人工的な並びだった。

そうして歩くこと20分池に着いた。1時間程釣りをしていて何気なく遠くの方を見たらチラッと人影が見え声が聞こえた。

「あきよへほ あきよへほ」

みたいな感じに。

普段誰も来ない場所なので、少し気になり見に行くことにしたが誰もいなかった。

まあ気のせいだと思い釣りを始めようと思っていたら、じいちゃんの軽トラが走ってきた。

俺はじいちゃんが迎えに来てくれたと思い、釣り道具を片付けていたら、物凄い勢いででじいちゃんが車で近づいてきた。

問答無用で車に押し込められ、釣竿もお気に入りだった水筒もその場に置きっぱなしになってしまった。

何か白い布を被され絶対出てくるなと言われ、家に帰るまでじいちゃんはずっと何かを唱えていた。

家に着くと俺を包んでいた白い布をじいちゃんが被り、新しい布をばあちゃんがかけてくれた。

ふと見ると近所の人たちが集まっていて、家は白い布で覆われていた。

あれほどの大きな布をどうやって調達したのか、今思うにこの時の為に用意してあったのだと思う。

そしてばあちゃんにお風呂に入れられ、少し大きな部屋に連れて行かれた。

知らないお爺さんがいて、何処を通って行ったのか、どのくらいの時間かかったのかなど、色々聞かれた。

その後、イモケ様の事について聞いた。

イモケ様は池を守る神様だけど、幼いので一人では寂しいのからと昔は子供を生贄に捧げていたらしい。

その子供が抜け道を通りイモケ様の所へ行っていたらしい。

しかし生贄とかの時代が終わり寂しくなったイモケ様は、里に下りてきて子供を連れて行くようになり、連れてきた子供が逃げないように足の筋を切りずっと自分の側にいさせていたらしい。

それでイケモ様が外に出ないように石を並べて道を閉じたと言う話だった。

最初は冗談と思って聞いていたが、自分の足を見た瞬間凍りついた。右足のスネの後ろが切れていて血が出ていたから。でも痛くはなかった。

いきなりお爺さんが叫んで、白い布を被った人が俺を囲み、ばあちゃんが傷を小さい札見たいなもので止血してくれた。

このままでは危ないと言う事で、急遽俺は家に帰されることに。またしても布を被され、じいちゃんの車に乗せられた。

イケモ様は白いものが見えないらしく、布を被れと言う事だった(にも係わらず家の中で足を切ったのは完全に家を覆いきれて無かったかららしい)。

布を被る前に見たじいちゃんの軽トラは、黒い部分はわら半紙で隠され、荷台には大量のお菓子が乗せられていた。すごくかっこ悪かった。

そして何事も無く走る車。俺はもっと何か起きると思っていたので拍子抜けしてしまった。

ずっと布を被っていたのでつい窓を開けてしまったら、外から

「きよへ」

と声が聞こえたが、じいちゃんは普通に運転していたので、気のせいだと思った。でも耳元で「きよへ」の声がはっきりと聞こえた。

ここで意識が無くなった。

目が覚めるとばあちゃんの家だった。

ばあちゃんに話したら全て夢だと言われた。

水筒も無くなってるし釣り道具も無かった。

この話をしても誰も信じてくれないが、右足に本当に傷が残っていて、何年経っても最近出来た傷のように見える。

本当の話だけど何か知ってる人いないですかね?

湖(フリー写真)

弘法大師の涙雨

昔テレビで見た話。 今から20年程前、香川県民の水瓶とも言える満濃池が干ばつで干上がった。 満濃池は、かの弘法大師が築いた溜め池で、近隣に幾つもある灌漑用池が干上がる事が…

部屋の灯り

北海道の知床の近くにある○○という町に友人と行った時のこと。 知床半島の岬を観光するにはその町からバスに乗る必要があったんだけど、田舎なだけにバスが3時間に一本で、面倒臭くなって…

山祭り

久しぶりに休みが取れた。たった2日だけど、携帯で探される事も多分ないだろう。 ボーナスも出た事だし、母に何か美味いものでも食わせてやろう。 そう思って、京都・貴船の旅館へ電…

銀杏の木(フリー写真)

止まった時間

私が小学校3年生か4年生の時のことです。 友人5人と神社の境内で『ダルマさんが転んだ』をやっていました。 小学校の帰りに道草をくって、そこいらにランドセルを放って遊んでいま…

笈神様(おいがみさま)

その日の夜、私は久し振りに母に添い寝してもらいました。母に「あらあら…もう一人で寝られるんじゃなかったの」と言われながらも、恐怖に打ち勝つ事は出来ず、そのまま朝を迎える事となりました。…

犬(フリー素材)

犬の気持ち

俺が生まれる前に親父が体験した話。 親父がまだ若かった頃、家では犬を飼っていた。 散歩は親父の仕事で、毎日決まった時間に決まったルートを通っていたそうだ。 犬は決まっ…

葛籠(つづら)

俺は幼稚園児だった頃、かなりボーッとした子供だったんで、母親は俺をアパートの留守番に置いて、買い物に行ったり小さな仕事を取りに行ったりと出かけていた。 ある日、いつものように一人…

んーーーー

現在も住んでいる自宅での話。 今私が住んでいる場所は特にいわくも無く、昔から我が家系が住んでいる土地なので、この家に住んでいれば恐怖体験は自分には起こらないと思っていました。 …

ショートカット

小学校の頃の体験です。 私が通っていた校舎は4階建てでした。 校舎の両端にそれぞれ階段があって、東階段と西階段と呼ばれていました。 東階段部分の校舎は3階までしかなく…

とある物件

今から8年くらい前のITバブルと呼ばれていた頃の話です。私が学校を卒業し、新卒でとある自称IT関係という会社Aに就職いたしました。 当時私は就職活動を適当にしていたため、3月くら…