勘の鋭い姉の話

公開日: ほんのり怖い話 | 不思議な体験

女性の後姿

一年前から始めた一人暮らし以降、私は不眠症に悩まされるようになった。数ヶ月前、普段霊などには触れない勘の鋭い姉が遊びに来た時、彼女は「ここ住んでるんだ。そうかそうかなるほどね」と何やら意味深な言葉を残して帰っていった。姉は何かを察する能力に優れており、私が子供の頃からじゃんけんで勝ったことがないほどだ。彼女が何かを感じ取ると、それが現実に起こることが多かった。

ある日、電車に乗っているときに彼女からの電話で「電車を降りて話をしたい」と言われ、仕方なく降りた。しかし、話は些細なことで、内心腹を立てていた。ところが、目的地で大きな事故が発生していることを知り、姉の勘の鋭さを再認識した。

数日後、姉から人形が送られてきた。理由を尋ねても「枕元に置いて寝てみて」という返答のみ。人形趣味のない私だったが、その人形を枕元に置いて寝ると、驚くほど快適に眠れるようになった。姉にそのことを伝えても、何も語らないまま、「それはあげる」とだけ言った。以来、その人形に情が湧き、服を買って着せ替えるようになった。他の人形には興味が湧かないが、この人形だけは特別に感じる。

後日、姉が遊びに来て、人形用のピンクの靴をお土産に持ってきた。私は偶然にも人形にピンクの洋服を縫っていたが、靴が合わないと思っていたところだった。また、隣の騒がしい家族が「もうすぐ引っ越す」と言っていた姉の言葉通り、連休最終日にいきなりいなくなった。

その後も、姉からもらった人形には興味が持続し、着物を作って着せたりしていた。帰省時に持って行ったところ、姉はちりめんの人形用草履をくれた。まるで姉は私が着物を作ったことを知っていたかのようだった。

またある日、姉に「鞄の中のぬいぐるみを出して」と言われ、思い当たる節がなかったが、友人からもらったぬいぐるみストラップだった。「これはこっちで処分する」と言われ、姉に預けた。その後、彼氏の二股が判明し、相手がそのストラップをくれた友人だったことが発覚。姉がそのストラップに何を見たのか気になってならない。

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