不思議な再会

公開日: 不思議な体験

公園

私は神楽と名乗ることにする。これは私がかつて霊能者として「神楽斎」と名乗っていたからだ。過去には雑誌にも紹介されたことがあるので、知っている人もいるかもしれない。私には幼い頃から「霊感」があり、数多くの霊体験をしてきた。今日は、その中から一つ、幼い日の記憶を語りたい。

この話は、私がまだ幼稚園に入る前に住んでいた公団団地の近くで起きた。その団地にはいくつかの公園があり、私はその中でも一番端にある公園を好んでいた。そこは他の子供たちがあまり来ない静かな場所で、私のお気に入りの遊び場だった。

ある日、いつものようにその公園で遊んでいると、見知らぬ女の子がベンチに座っていた。彼女の名前はカナと言った。私たちはすぐに打ち解け、一緒に砂場で遊んだ。しかし、遊んでいるうちに暮れてきて、カナはまだ残ると言い、私は家へと帰った。

次の日、再び公園でカナと遊んだが、夕方になり母が買い物から戻ると、カナの姿は突如として消えていた。家に帰って母にカナのことを話したところ、母はただ頷いたが、その夜、私は原因不明の高熱に襲われた。

熱でうなされながら「カナちゃん…カナちゃん…」と呼び続けた。その時、両親は私の体の上に白い球体が浮かんでいるのを見たという。両親は必死に「神楽を連れて行かないで!」と叫んだ。

私には実は亡くなった姉がおり、「香奈」と名付けられていた。姉は死産で、その悲しみから立ち直った後に私が生まれた。翌日、私は熱も下がり、夢でカナが「お母さん、お父さん、産んでくれてありがとう。またお母さんのお父さんの子供になりたい」と言ったことを母に伝えた。母は感謝と後悔の涙を流し続けた。

後に知ったのは、私の熱が下がった日が姉の誕生日であり命日であったことだ。私は姉の守護を受けていたのだろう。そして翌年、私には妹が誕生した。彼女はどことなくカナに似ており、その笑顔はまるで再会したかのように感じられた。


note 開設のお知らせ

いつも当ブログをご愛読いただき、誠にありがとうございます。
今後もこちらでの更新は続けてまいりますが、note では、より頻度高く記事を投稿しております。

同じテーマの別エピソードも掲載しておりますので、併せてご覧いただけますと幸いです。

怖い話・異世界に行った話・都市伝説まとめ - ミステリー | note

最新情報は ミステリー公式 X アカウント にて随時発信しております。ぜひフォローいただけますと幸いです。

関連記事

飲食店(フリー素材)

身代わり

少し昔の話をする。 私の友人が飲食店の店長をする事になった。 その店に行きたいと思いつつなかなか都合がつかず、結局その店に行けたのはオープンから一ヶ月が過ぎようとしている頃…

切り株(フリー写真)

植物の気持ち

先日、次男坊と二人で、河原に蕗の薹を摘みに行きました。 まだ少し時期が早かった事もあり、思うように収穫が無いまま、結構な距離を歩く羽目になってしまいました。 視線を常に地べ…

じいちゃんの話(長編)

これは俺が10年以上前に体験した話。 当時、俺は田舎にある実家に住んでいた。 実家は古くから立つ日本家屋ではあったが、辺り一面に田んぼがあるほどのド田舎という以外は、ごく普…

妖怪カラコロ

専門学生の頃に深夜専門でコンビニのアルバイトをしていた時の話。 ある日の午前1時頃に駐車場の掃除をしていると、道路を挟んだ向こう側の方から何か乾いた物を引き摺るような、 「…

光(フリー素材)

異世界に続く天井裏

俺のクラスに新しく転入生の男子が来た。 彼はいつも机に突っ伏して塞ぎ込んでいて、未だに友人は一人も出来ていないようだった。 きっとクラスに馴染めずに大変なんだろうと考えた俺…

登校する小学生(フリー写真)

モウキカナイデネ

この話を誰かに話す時、 「確かにその話、滅茶苦茶怖いけど、本当かよ?」 と言われる事がある。 霊が出て来るような話の方が、余程現実味があるからだ。 これは俺が実…

白無垢の花嫁

白無垢の花嫁さん

俺がまだ小学低学年の頃に体験した話。 俺の家は当時、夏になると田舎に帰っていたんだよね。 そんな時に必ず泊まる小さな民宿があるんだ。 各部屋の入り口はドアではなく襖…

マスク(フリーイラスト)

空白の友人

偶に記憶の空白が訪れる。 正確に言うと、「気付いたらいつの間にか数時間が経過していた。そして、ついさっきまで自分が何をしていたのかが判らない」というものなんだけど。 まあ、…

忠告

先日事故で意識不明、心肺停止状態で病院に運ばれた時、気が付くと処置室で自分が心臓マッサージをされているところを上から見ていたんです。 これが幽体離脱というやつだなと解って、自分の…

田舎の風景(フリー素材)

垣根さん

中学生の頃の話。 当時は夏休みになると父方の祖父母の家に泊まりに行くのが恒例になっていた。 と言っても自分の家から祖父母の家までは自転車で20分もかからないような距離。 …