長年の友への激励

公開日: 心霊ちょっと良い話

旧い店舗(フリー写真)

米屋の店先で長椅子に座っていた米屋のじいさんが、ガックリ肩を落としたような格好でタバコを吸っていた。

すると「随分しょぼくれてんなぁー!ボケが始まっちまったかぁ? あぁ?」と大声が聞こえた。

見ると、米屋の向かいの酒屋のじいさん。

見慣れた姿で腰に手を当てながら、米屋に向かって立っていた。

思い返せばこの二人、耳が遠いんだか、地声が大きいんだか…。仲が良いんだか、悪いんだか…。

道を挟んで、よく大声で話していたなぁ。

べらんめぇ調の酒屋のじいさんの大声も懐かしい。

そこまで思って気が付いた。

そうだ。酒屋のじいさん、一昨年に亡くなったんだっけ。

だから米屋のじいさんもしょぼくれて…。

酒屋のじいさんが、この世の者でないことに気が付いた。

そして、じいさんはこちらを向き、

『あいつに言ってやってくれ』

といった風な仕草をしながら消えて行った。

私にどう伝えろと言うのだろう?

それより…、米屋のじいさんに見えるように出て来いよ。

関連記事

神社のお姉さん

友達から聞いた話なので詳しくは判らないのだけど、嘘や見栄とは縁のない子が言っていたことなので、きっと実話。 友達は霊感持ちではないが、小学生の頃に霊か神仏としか思えないものに会っ…

白い影

当時、私は精神的に荒んでいて、よく大型バイクをかっ飛ばしたりしていました。 その日もバイクで走っていたのですが、広めの幹線道路は渋滞していました。 そこで、道の左端をすり抜…

着物の少女

毎年夏、俺は両親に連れられて祖母の家に遊びに行っていた。 俺の祖母の家のある町は、今でこそ都心に通う人のベッドタウンとしてそれなりに発展しているが、二十年ほど前は、隣の家との間隔…

飲み屋街(フリー素材)

常連客

学生時代、叔父が経営する小さな小料理屋(居酒屋)で手伝いをしていた。 常連客の中に、70代のMさんという真っ白な頭の爺様が居た。 ほぼ毎日、開店時間の16時から24時くらい…

ポン菓子(フリー写真)

ポン菓子

今から十年以上前に体験した不思議な話です。 母が10歳の頃に両親(私の祖父母)は離婚していて、母を含む4人の子供達は父親の元で育ったそうです。 「凄く貧乏だったけど、楽しか…

見覚えのある手

10年前の話だが、俺が尊敬している先輩の話をしようと思う。 当時、クライミングを始めて夢中になっていた俺に、先輩が最初に教えてくれた言葉だ。 「ペアで登頂中にひとりが転落し…

神社の思い出

小学生の時、家の近くの神社でよく遊んでた。 ある日、いつも通り友達みんなで走り回ったりして遊んでいると、知らない子が混ざってた。 混ざってたというか、子供の頃は誰彼かまわず…

金木犀(フリー写真)

金木犀の苗木

両親を事故で亡くした俺には、9歳離れた姉貴が居た。 子供の頃、肥満気味で両親が居なくて虐められていた俺を、いつも助けてくれた。 優しくて、強くて、俺の自慢の姉貴だった。 …

小綺麗な老紳士

駅構内の喫煙スペースで私はタバコを吸っていました。 喫煙スペースと言っても田舎の駅なので、ホームの端っこにぽつんと灰皿が設置してあるだけの簡易的なものでした。 すると小綺麗…

夜の海(フリー素材)

ばあちゃんのまじない

部活の合宿で、他の学校の奴も相部屋で寝ていた時の事。 ある奴が急に魘され、布団の上でのた打ち回り始めた。起こそうとしても全然起きない。そのまま魘され続ける。 起きている奴等…