姉のアトリエ

公開日: 怖い話 | 意味がわかると怖い話

22222

10年程前の話。

美術教師をしていた姉が、アトリエ用に2DKのボロアパートを借りた。

その部屋で暮らす訳でもなく、ただ絵を描く為だけに借りたアパート。

それだけで住まないなんてもったいない!

私は姉に頼み込んで、その部屋で一人暮らしをさせてもらった。

一人暮らし初日、ワクワクしながらアトリエに帰宅。

帰ってすぐに玄関に鍵とチェーンをかけた。

夕飯を作ったり、本を読んでゴロゴロしたり、楽しく一人の時間は過ぎていく。

就寝前にもう一度戸締りをチェック。ガスの元栓も締めてから眠りに就いた。

多分夜中の2~3時頃だったと思う。玄関がガチャっと開いた。

姉が絵を描きに来たらしい。

こんな時間に頑張るなあと思いながら、ウトウトしていると、画材やらキャンバスやらが置いてある隣の部屋で、姉はブツブツ言ったり、クスクス笑ったりしている。

うーん、やっぱり芸術家と怪しい人って紙一重だよなあ、と妙に納得しながら、私はいつの間にやら寝入ってしまった。

朝、目が覚めると姉は居なかった。

姉の絵に対する情熱は尊敬に値するなあ…。そう感慨に浸りながら私は家を出た。

玄関の鍵を閉めた時に、突然恐怖に襲われた。

それ以来、私がそのアトリエに足を踏み入れる事はなかった。

関連記事

一家が失踪した神隠し事件

平成14年9月7日、広島県世羅町京丸の「京丸ダム」の湖底に車が転落しているのを通行人が発見し、警察に通報した。 車内からは四人の遺体が見つかり、遺体は昨年6月4日から一家4人で行…

木造校舎

青い手首

ネタではありません。実際の体験談です。 世田谷区立某小学校での出来事。 ※ 入学して1年間は、戦前からある古い木造校舎で過ごしました。 2年生になった頃に木造校舎の建て…

廃墟

消えた声、風の中から

高校2年の夏休みのことだった。 霊の存在など信じないと豪語していた友人が、地元で“出る”と噂されていた廃屋に、ひと晩ひとりで泊まってみると言い出した。 その日の昼間、彼は…

太平洋戦争

大東亜トンネル

これは自分が大学生だった時の話だ。 当時やんちゃだった自分は、よく心霊スポットに出かけていた。 ある日、遊び仲間の友達が「すぐ近くに幽霊トンネルがあるらしい」と教えてくれた…

空き家

子供の頃に住んでいた家は、現在住んでいるところから自転車でわずか5分程度。 近所に幼馴染みも沢山いたし、自分とはもう関係ない家だという認識があまりなかった。 自分たちが引っ…

東京五輪

ナレーションの声

小学5年生の頃、アメリカでワールドカップが開催された。 だからという訳ではないけど、幼馴染のNとよく近所の公園でサッカーをしていた。 ある日、「たまには別の公園でやろう」と…

廊下(フリー背景素材)

赤いクレヨン

とある夫婦が、非常に安い価格で一軒家を買った。 駅から近くに建っていてなかなか広いので、何一つ不満は無かった。 しかし一つだけ不思議な点があった。 それは、何故かいつ…

おかめの面

出張で東北の方へ行った。 仕事の作業が完了した時には、帰りの新幹線に間に合わない時間になっていた。 宿泊費は自腹になるので、安いビジネスホテルを探してチェックイン。 …

ドライブイン

異界のドライブイン ― 消えた車と巨大な蛆

ドライブのはじまり この話は、いわゆるオカルトや怪談に分類されるかどうか、少し微妙なところがあります。ですが、個人的には今でも忘れられない、非常に恐ろしい体験でした。 そ…

B型肝炎

薬害エイズ。 国は非加熱製剤が危険であることは、それを禁止する10年近くも前から知っていた。 非加熱製剤が危険であると知ってから1年後、アメリカの会社が日本の厚生省に安全な…