大量のゲームソフト

ゲーム屋

10年前くらい前、ゲーム屋でバイトをしていた。

ある日、もうすぐ閉店時間という時に、突然60歳くらいのおばさんが大きなダンボールを抱えて店に入って来て、物凄い形相で「お金いらないからこれ全部引き取ってちょうだい!」と言う。

それで、結構大量だし新しいゲームソフトも入っているから、本当に良いのか聞こうとしたんだけど、そう言う前に出て行ってしまい俺も店長も困惑。

しかも店長が言うには、そのおばさんはうちの店の常連で、よくゲームを買ってくれていた人らしく、なぜ突然こんなに持って来るのか気味悪がって触ろうとしない。俺も怖いから触りたくなくて押し付け合った。

その時にちょうど閉店の音楽が鳴り、ソフトの評価は翌日ということになって、大量のゲームソフトをレジ台の上に置いたまま俺も店長も帰ったんだ。

だけど、次の日にはもうその大量のゲームソフトはダンボールごと消えていたらしく、店長は「ああいうのには関わらない方が良いよ」とホッとしていた。

その後、おばさんは自殺した。家からは長年引き篭もっていた息子の他殺死体が出てきて、地元では騒動になった…。

あの大量のゲームソフトを、なぜあのおばさんは焦って手放そうとしたのか、あのゲームソフト達は今どこにあるのか、色々考えるとちょっと寒気がするんだよな…。

関連記事

別荘

人の塊

2年前の話を。 この話は一応口止めされている内容のため、具体的な場所などは書けません。 具体的な部分は殆ど省くかボカしているので、それでも良いという方だけお読みください。 …

パンドラ(長編)

私の故郷に伝わっていた「禁后」というものにまつわる話です。 どう読むのかは最後まで分かりませんでしたが、私たちの間では「パンドラ」と呼ばれていました。 私が生まれ育った町は…

公衆トイレ(フリー写真)

順番待ち

この間、東京に用事があって行ったんだよ。 片田舎からの上京なので朝一の高速バスに乗って、朝9時頃に新宿駅に着いた。 その途中にトイレ休憩もあったんだけど、眠くてずっと寝てい…

『さかな』と『みぎ』

その日、友達と近所の公園で待ち合わせをしていた。CDを何枚か借りる約束だった。 季節は今くらいの冬の時期。夕方16時過ぎで、もう薄暗くなりかけだったのを覚えている。 約束の…

家(フリー素材)

予兆

会社からの帰宅途中に新しい家があり、その家のベランダを見たら女性が体育座りをしている。 それだけだったら変じゃないけどさ。 よく見たら家族で体育座りをしているんだよね。 …

アガリビト

山は怖い。何が怖いって幽霊とか野生の動物とか天候とか色々あるけど、一番怖いのは人間。 お前ら山行くと開放的になるだろ?清々しい気持ちになるだろ? あれは人としての境界を越え…

お嬢さんは地獄に落ちました

ある病院に、残り3ヶ月の命と診断されている女の子がいました。 友達が2人お見舞いに来た時に、その子のお母さんは、まだその子の体がベットの上で起こせるうちに最後に写真を撮ろうと思い…

零の開発中に起きた怪奇現象

これまでホラーゲーム『零』シリーズは、絶対お祓いをしないというディレクターの柴田の信念がありました。 本当に恐いことが起こるゲームとしては、逆にお祓いをしては恐怖を逃すことになる…

アケミちゃん(長編)

大学に入学し友達も何人かできたある日の事、仲良くなった友人Aから、同じく仲良くなったBとCも遊びにきているので、今からうちに来ないかと電話があった。 時間はもう夜の9時過ぎくらい…

山(フリー写真)

山に魅入られる

小学校5年生の頃、私が祖母の家に遊びに行った時の話。 当時は夏休みになると祖母の家に何週間も泊まりに行くのが定例となっていて、地元の子供達とも夏休み限定の友人として結構打ち解けて…