サンドイッチ

f0149207_14351992

高校生の頃、俺のクラスにいつも虐められているオタク風のデブ男がいた。実を言うと俺も虐めていた1人だった。

そんなある日の昼休み。俺はあるプリントを5時限までにやらなくてはならず、昼食を食べる間も惜しんで書き進めていた。

ふと気がつくと教室には4、5人の生徒がいるだけで、ほかの奴らは学食や屋上や中庭へ出ていた。

教室に残っていた生徒の1人が、その問題のデブな奴で、弁当をまるで隠すようにコソコソと食べていた。

それを見ていた俺は、急に腹が立ってきて、奴の席に近寄って

「○○くん、何をそんなにコソコソ食べてるのかな? 俺は忙しくて食事をする暇もないよ」

と言うと、奴はあわてて弁当に蓋をした。

「おいおい、何も隠す事はないだろ。俺は今日は弁当持ってないから、良かったら俺にも分けてくれないか?」

と俺は何気なく奴の弁当に手を出した。

すると、奴は弁当にサッと覆い被さって、俺を睨んできた。それを見た俺はカッとなって、

「おい、なんだよ、その態度は? だいたい人に見せられない弁当なら持ってくるなよ」

と言うと、奴はニヤリとこれまでに見せた事もないような笑みを浮かべて

「そんなに見たれば、みせてあげてもいいよ」

と言って弁当の蓋を開けた。

俺は奴の態度にわずかな不審を抱きながらも、弁当の中を見た。そこには何の変哲もないサンドイッチが入っていただけだった。

俺は安心して、

「なんだ、ただのサンドイッチじゃないか? 1つもらってもいいか?」

と返事も聞かずにサンドイッチを取って、奴がニヤニヤするのを横目に口にした。

すると、なんとも言えない味が口の中に広がり、俺はあわてて、トイレへ行き、口の中のものを吐き出した。なんと、俺の吐き出したものの中には、もぞもぞと動く蛆虫がいたのだ。

俺がギョっとなって立ち尽くしていると、後ろから奴が近づいてきて、

「ほかの人たちには言わないほうがいいよ。どうせいつものいじめだと思われるから」

と嬉しそうに言いやがった。

その後俺はショックでしばらく学校を休んだが、ようやく出てきた時には、奴は一身上の都合とやらで転校した後だった。

果たしてあのサンドイッチを奴が食べていたのか、それともいつもの虐めの仕返しだったのか、今だに判断がつかないでいる。

関連記事

ゲーム屋

大量のゲームソフト

10年前くらい前、ゲーム屋でバイトをしていた。 ある日、もうすぐ閉店時間という時に、突然60歳くらいのおばさんが大きなダンボールを抱えて店に入って来て、物凄い形相で「お金いらない…

俺の曾爺ちゃんの話を書いてみようと思う。 と言っても、曾爺ちゃんは俺が物心付く前に死んでしまったので、爺ちゃんに聞いた話なのだけれど…。 更にそれを思い出しながら書くので、…

放射能記号(フリー素材)

原発並み

以前、井戸の底のミニハウスと、学生時代の女友達Bに棲みついているモノの話を書いた者です。 当時、女友達Bの元彼氏(E)に聞いた小話を思い出したので投下します。 ※ 以下はこれ…

ハコマワシ(長編)

半年くらい前、怖い体験をした。心霊現象ではないが、かなり気持ち悪い体験だ。長くなると思うから適当に読み流してくれても構わない。 中学生だった頃、俺のクラスに霊感少女がいた。家が神…

ゲーム機

閉店間際のゲーム店にて

約10年前、私はあるゲーム店でアルバイトをしていました。 閉店時間が迫るある日、60歳前後と見える一人の女性が、突如大きなダンボール箱を抱えて店内に駆け込んできました。 …

旅館の求人

丁度2年くらい前のことです。旅行に行きたいのでバイトを探してた時の事です。 暑い日が続いていて、汗をかきながら求人を捲っては電話してました。 ところが、何故かどこもかしこも…

報道されない異常な事件

1 名前:証人 ◆k77zBQp. 投稿日: 02/05/11 02:18 ――俺は今、恐怖に震えている。 理不尽だ。何で俺が? 俺は関係ないのに。俺は通りかかっただ…

文字化けメール

去年の3月の事。俺は高校を卒業し、大学へ通うようになるまでの数週間、暇を持て余してひたすら遊び歩いていた。 そんなある日の夕方、友人(A)から「暇だからドライブ行こうぜ!」という…

東京五輪

ナレーションの声

小学5年生の頃、アメリカでワールドカップが開催された。 だからという訳ではないけど、幼馴染のNとよく近所の公園でサッカーをしていた。 ある日、「たまには別の公園でやろう」と…

神社(フリー素材)

ふくろさん

大学二年の春だった。 その日僕は、朝から友人のKとSと三人でオカルトツアーに出掛けていた。 言いだしっぺは生粋のオカルティストK君で、移動手段はSの車。いつもの三人、いつも…