U字溝

15162

実家のある地域では、毎月一回くらい集まって地区の道路の掃除とか酒飲んだりする日がある。

んで、その日は昔からありすぎてもう何を奉ってるかも分からない神社だかお寺を掃除する日だったんだ。

部落の爺ちゃん婆ちゃんは何故かそこには近づかないので、その息子たちの世代(俺の親父の世代)が半年に一回くらい掃除するんだ。

でも、そこの一ヶ所のU字溝の付近はいわくつきと言うか、近づいたら死人が出るって言われていた。けど親父達の世代はそんなの年寄りの迷信だと思って構わず掃除してたんだ。

そしたら昼間は元気だった近所のおじさんがその夜突然亡くなった。それ以降その家は幽霊屋敷になった。

で、自宅の風呂場で亡くなってたから警察とかも来たんだけど、死因は脳梗塞かなんかだって言われてた。

ただ昼間凄い元気で健康そのものだった人が急に亡くなったし、その人がU字溝を掃除してた人だったから、暫くはその噂で持ちきりになった。

それから色々あって掃除は無かったんだけど、数年後にまたそこの掃除が来た。

年寄りたちは反対だったらしいけど一応神聖な場所では有るだろうから、U字溝を避けてやることに決まった。

けどやっぱり迷信だと気にしない人もいるわけで、U字溝を掃除しちゃった人がいるんだ。その時はヤバイって人達と笑い話になる人達といて、実際に気にする人もいなかった。

でも、次の日の昼間、掃除した人が農機具に巻き込まれて亡くなっだ。吸い込まれるように刃に潜っていって亡くなったそうだ。

そんなこともあってさすがに何かあると思ったけど、知ってるかもしれない年寄り衆もみんなもう亡くなってたし、この科学の時代に、怖いとは思っても本気で信じる人はいなかったらしい。

同世代が二人も亡くなって、流石にあそこは避けようってことになり、次の掃除の時は近づく人もいなかった。

掃除も順調に進み、伸びてきた木をうちの親父がチェーンソーでが切ってたら、足場にしてた太い木が急に倒れ、木から落ち…てたら大惨事だったんだど、近くにいた親父の友達が下から支えてくれて、事なきを得た。

ただ親父の友達が親父を支えた場所が問題で、その場所は掃除しないようにと、蓋をしたU字溝のちょうど蓋の上だったんだ。

そこにいたみんながこれは不味いぞ…って空気になったけど、蓋の上からだったし大丈夫だろうと思ったんだ。

でも次の瞬間、下から叩いてるような音と共にU字溝の蓋が2~3回が上下に動いた。

大人二人を乗せたままU字溝の蓋が上下に動いたもんだから、掃除はそこまでにしてもう解散ってことになった。

帰りはみんな無言だった。

親父の友達が亡くなったのは次の日の昼間だった。

釣りに行って海に落ちたそうだ。

一緒に行った人達は、普通に会話してたのに、急にフラつきながら海に落ちたからびっくりしたそうだ。

親父は一緒に行った人達になぜすぐに助けなかったと食ってかかったけど、海に落ちた時にはすでに亡くなっていたそうで、助けようが無かったそうです。

親父曰く、今年は震災で掃除は無かったけど、今後掃除が有ってもあそこには行きたくないとのことです。

以上、地元で実際にあった、心霊現象なんか信じない親父の体験した話でした。

関連記事

神社の生活

これは5年程前から始まる話です。 当時、私は浮浪者でした。東京の中央公園で縄張り争いに敗れて、危うく殺されかけ追放された後、各地を転々とし、最後に近畿地方のとある山中の神社の廃墟…

最後の疑問

最近友人は 2ヶ月間タイに行ってきた。 まあ、日本円で千円も出せば一泊できるような安宿に泊まったらしい。 どこの国でもそうなのかも知れないが、やはり日本人旅行者は狙われる。…

呪いのゲームソフト

昔、ゲーム雑誌会社で働いていました。 当時はゲームと毎日向かい合っていたので振り返るのをやめていましたが、会社自体が潰れて暫く経ち、どこの会社かバレても支障がなくなったので、その…

夜の住宅街(フリー素材)

屋根の上の女

今年の夏の体験。 私の家は山の上の方にある。 夜、喉が渇いたので飲み物を買おうと、500メートルほど坂を下った所にあるコンビニへ行くため自転車に乗った。 私の家からコ…

相乗り

僕が小学の低学年の時に、親におつかいを頼まれました。 おつかいを済ませて、オートロック式の自宅マンションの暗証番号を押し扉を開けて、エレベーターホールに向かい、エレベーターが降り…

ベンチに座る女

僕が中学生の頃の実体験。 当時、僕はその辺りでは一番大きなマンションの7階に住んでいました。 受験を控え、一応は深夜まで勉強する事が多かった僕は、2時頃から3時頃までの間に…

邪視(長編)

これは俺が14歳の時の話だ。冬休みに、N県にある叔父(当時まだ30代)の別荘に遊びに行く事になった。 本当は彼女と行きたかったらしいが、最近別れたので俺を誘ったらしい。 小…

肉

人肉館

「なあ、人肉館に行かないか?」 夏休み。私は休みを利用して久しぶりに実家のある長野県へと帰って来た。 普段は東京で働いているのだが、実家は山あいの町。気温は高いが湿度は低く…

白い女の子

先日、祖母の葬式のために生まれ故郷を訪れた。そこは山と畑しかないような、いわゆる寂れた山村だ。 私が小学生の時に両親と市内に引っ越したために足が遠のき、さらに大学に通うのに東京に…

黒電話

壁の中の秘密

1998年、草野正人さん(仮名・35歳)は転職を機に、家族3人で新しいマンションに引っ越した。 築年数の経過したこの建物は、3人の生活には十分な空間を提供していた。 異変…