ゆかりちゃん

公開日: 怖い話 | 洒落にならない怖い話

1010_omamori10

ゆかりちゃんという女の子がいた。ゆかりちゃんは、お父さん、お母さんと3人で幸せに暮らしていた。

しかし、ゆかりちゃんが小学校5年生の時に、お父さんが事故で亡くなってしまった。

それからというもの、ゆかりちゃんのお母さんは、朝早くから夜遅くまで必死になって働いた。母子家庭だからと後ろ指を指されないように。

立派に小学校を卒業させ、中学校も卒業間際に、もともと病弱だったお母さんは、過労が重なり倒れてしまう。

亡くなる直前、お母さんはゆかりちゃんを枕元に呼び、

「ゆかり、お母さんまで先に逝ってしまってごめんね。どうしても困った時にはこれを開けなさい」

と、手作りのお守り袋を渡し、天国に行ってしまったのだった。

それからゆかりちゃんは親戚の家に引き取られ、高校へ通うようになった。通学かばんには、あのお守り袋が付いてる。

ある日、クラスの男子が

「ゆかり、いつも付けてるそのお守り、見せろよ」

とからかってきた。

ゆかりちゃんは大切な物だったので言葉を濁し、見せようとはしなかった。

それでも男子は無理矢理奪い取り、とうとうそのお守り袋を開けようとしたため、ゆかりちゃんは全てを説明し、返してもらおうとした。

しかし引っ込みが付かなくなった男子は、遂にお守りの中の物を手にしたのだった。

中には手紙が入っていて、それを見た男子は絶句している。

ゆかりちゃんは今まで手紙が入っていた事すら知らなかったが、男子からその手紙を返してもらった。

手紙にはお母さんの文字で、はっきりとこう書かれていのだ。

ゆかり 死ね。

関連記事

山

ヤマノタミ

俺の父方の祖先は九州の山奥の領主だった。 これは父が自分の祖父から聞いた話(つまり俺にとっての曽祖父。以下曽祖父)。 ※ 曽祖父の両親は田舎の名家ということもあって、かなり厳…

自転車と女性

髪の長い女性の正体

あれは、私が中学生の頃の出来事でした。 夜の塾を終え、星空を見上げながら、のんびりと自転車を漕いで家に帰っていました。 時刻は夜の十時を少し過ぎた頃だったと思います。 …

柿の成る家(フリー素材)

ジロウさん

23年程前の話。 俺の地元は四国山脈の中にある小さな村で、当時も今と変わらず200人くらいの人が住んでいた。 谷を村の中心として狭い平地が点在しており、そこに村人の家が密集…

工事現場(フリー写真)

マンホールの男

昔、警備会社の夜勤をやっていた時の話。 多くは国道の道路工事の現場で、車通りの多い道で騒がしい音の中働いていた。 ある日、珍しく裏道の仕事が回って来た。 その細い裏道…

赤模様

赤いシャツの女

二年前の今頃の話。 その日、来週に迎える彼女の誕生日プレゼントを買いに、都内のある繁華街に居た。 俺はその日バイトが休みだったので、昼過ぎからうろうろとプレゼントを物色して…

白いソアラ

群馬県の国道沿いにある中古車販売店に、白いソアラが数万円という破格の安値で展示されていた。 有名な高級車の一つであるソアラがこの価格で手に入るとなれば、当然誰かが買っていきその車…

ファミレスのバイト

ファミレスでの俺のシフトは、普段は週3日で17時~22時と日曜の昼間。 肝試し帰りの客の一人が、憑いて来た霊らしきものを勝手に店に置いて行った後での出来事。 ※ マネージャー…

呪われた路線

都心と多摩地区を結び、JRのドル箱といわれている中央線。 疾走してくる電車への飛び込み自殺の多発路線としても知られている。 例えば、1995年4月から11月までの8ヶ月間に…

教授のメモ

ある大学の教授が突然、姿をくらませた。 教授と同じ研究室の助手は、最初は旅行にでも行ったのだろうと考えたが、大学側に問い合わせても教授の行方は判らないと言う。 助手はどうし…

おかあさんといっしょの都市伝説 – 2 –

『おかあさんといっしょ』は50年以上続く子ども向けの教育番組だ。 歴史が長いだけに、都市伝説も数多く存在する。今回はその一つをご紹介しよう。 1993年より体操のお兄さんと…