事件事故

f8ab0568.JPG-blog_id=553115

父親が道警勤務で、事件事故は親父の出動の方がニュース速報よりも早い。だから事件事故は「親父の仕事」のイメージが強かったりする。

でも、豊浜トンネルの崩落のときはちょっと違った。

緊急出動の指令を受け、着替える親父の顔が妙に暗いのだ。

親父に「今回は何?事件かなんか?」と聞くと、普段は「言えん」とか「話すことはない」と言って出動内容を話さない父親が、「事故」とだけポツリと言う。そして母親に「今回はしばらく帰ってこれないわ。長引く」と言って出て行った。

親父が出て行ってしばらくした後、テレビにニュース速報。現場の中継を見た瞬間に、親父のあの表情の理由がわかった気がした。

多分、最も初期の時点で既に生存が絶望的だった、そんな事故だったんだろう。

結局、親父は4日間帰って来なかった。

5日目の夕方、着替えを取りに戻ってきた親父に状況を聞くと「直撃してる。バスは真下だ。方法が見つからん。ほとんどの家族が諦めてる」と言った。

俺は「スコープからの映像は見たの?中はどんな感じなの」と質問した。

「5センチ」

「何が」

「スコープで確認できた遺体の身長だ」

ダイバー

私はある南の海で仲間たちとスキューバダイビングを楽しんでいました。空は晴れ渡り、海の状態は非常に安定していて絶好のダイビング日和でした。 私は仲間のダイバーと二人で、あるダイビン…

介護の闇

家には痴呆になった祖母がいる。 父方の祖母だが、痴呆になる前も後も母とは仲が良く、まめに面倒を見ている。 これは年末の深夜の話。 祖母の部屋から、何やらぼそぼそと呟く…

首長リーマン

終電の一つ前の電車に乗っていた時の事。 電車内には俺と、酒を飲んでいる汚いおっさんが一人。 電車の中で酒飲むなよと思ったけど、臭いも届かないし、まあ良いかという感じで携帯を…

地下の井戸(長編)

これを書いたら、昔の仲間なら俺が誰だか分かると思う。 ばれたら相当やばい。まだ生きてるって知られたら、また探しにかかるだろう。 でも俺が書かなきゃ、あの井戸の存在は闇に葬ら…

マンションのドア(フリー写真)

異口同音

怖い思いをして実害もあった話。 夜遅くに仕事から自宅のマンションの部屋に帰ったら、玄関の前に粉が落ちていた。 何だろうと思って屈んだところ、玄関ドアの異常に気付いた。穴が空…

田舎の風景

白ん坊

このお話の舞台は詳しく言えないけれど、私の父の実家がある場所にまつわるお話。 父の実家はとにかくドが付く程の田舎。集落には両手で数えきれる程しか家がない。 山奥なので土地だ…

リアルな夢

二年ほど前に遡ります。 私は父が経営する土建屋で事務をしています。 今は兄が実質の社長ですが、やはり父の威光には敵いません。 そんな父の趣味が発端と思われる出来事です…

木造アパート(フリー写真)

猿ジイ

私が小学生の頃に体験した話。 当時は通学路の途中に、子供達から『猿ジイ』と呼ばれている変なお爺さんが住んでいた。 年中寝間着姿で、登校中の小学生の後ろをブツブツ言いながら、…

公園の違和感

夜遅くの帰り道、公園の横を通った。遠くから歩きながら公園の方を見ると、なんか違和感がある。 近づいていくと、違和感の正体が分かった。電信柱の長さが違う。一方の電信柱の上に、髪が長…

女性

リゾートバイト(後編)

俺達は死んだように眠り、翌日、離塵さんの声で目を覚ました。 「皆さん、起きれますか?」 特別寝起きが悪い樹を、いつものように叩き起こし、俺達は離塵さんの前に3人正座した。 …