昔の刑場
公開日: 心霊体験 | 死ぬ程洒落にならない怖い話
俺のおふくろは戦前、満州から北朝鮮の辺りに開拓移民で居たのだが、夕暮れ時に街角の十字路で1メートルを超える人魂を見たことがあると言っていたな。
ぽっかりと浮かんだ人魂は、逢魔が時の薄暮の中をふらふら漂っていたらしい。
その時は何故か恐怖心は無く、何か不思議な物を見ている感覚だったとか。
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そして家に帰ると危篤だった祖母が亡くなっていたらしい(だから祖母の墓は北朝鮮にあって、度々の洪水で恐らく流れてしまっただろうから、今となっては場所も分からない)。
俺自身にはそういう経験は無いが、実家が江戸時代の刑場跡近くにあって、そこは何かと噂の絶えない場所だった。
最寄りのバス停が「地蔵前」という名称だが、地元民だけが知っている本当の名称は「首切り地蔵前」。
そのバス停から直接見えない交差点の裏に、首の無い地蔵があって、それは江戸時代に刑場で処刑される罪人の供養のためのものだった。
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そのせいとも言えないが、そこの交差点は県下でも事故の多い交差点で、特に地蔵の前に当たる角はヤバいと言われていた。
そこに最初に建物を作った時は、古い人骨がワラワラ出てきたそうだ。
俺の知っている限りでも、そこに出店した弁当屋がガス爆発事故を起こして廃業したり、とにかく店が居着かない。
今では郊外の住宅地として新参が増え、そういうことを教えてくれる古老も居なくなったけど、古くからの住民はみんな知っている。
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みんなも「ヶ原」という名が付く住所には要注意だ。
大抵、江戸時代まで遡れば町外れの刑場だからな。
地蔵はまだある。