住職さんへの相談

玄関(フリー写真)

友達の母さんが運転中、前の車にぶつけてしまった。

保険屋を通しての賠償は勿論、直接相手の元へ出向いたりと誠心誠意、謝罪をした。

しかし、このぶつけてしまった相手というのがねちっこい人間で…。

更に金を要求して来たり、自宅まで来て大声で怒鳴り立てたりを毎日のように繰り返して来た。

友達の母さんは参ってしまってノイローゼ状態。

食事も喉を通らないし、チャイムの音に逐一脅える程にまでなってしまった。

いよいよ困り果てた友達の母さんは、昔から何かとお世話になっていたお寺の住職さんにこの事を相談した。

母さんの話を聞いた住職さんは、暫く黙り込んだ後にこう言った。

「相手がどうなっても良いですか?」

追い詰められていた母さんは、藁にでもすがりつく思いで返答し、帰宅した。

それから数日、毎日のようにイチャモンを付けに来ていた男がぱったりと来なくなった。

母さんは相談をしていた住職さんの所へ現状報告に出向いた。

住職さんはにっこりと笑って、

「良かったですね」

と言った。

それから、どれだけ経っても男が家に来る事は全く無かった。

母さんの体調もすっかり良くなって、本来の生活に戻っていた。

やがて、男の事なんてすっかり忘れていた頃、親戚でもあり事故の時にお世話になった保険屋さんから、こんな電話が来た。

「あの男、死んだらしいよ」

死んだ時期を計算したら、母さんが住職さんに相談をしに行った直後だったという。

このお寺は現在もある。

関連記事

そこを右

あるカップルが車で夜の山道を走っていた。 しかし、しばらく走っていると道に迷ってしまった。 カーナビもない車なので運転席の男は慌てたが、そのとき助手席で寝ていたと思った助手…

猿夢

私は、夢をみていました。 昔から夢をみているとき「私は今夢をみているんだ」と自覚することがあり、この時もそうでした。 なぜか私は一人薄暗い無人駅にいました。ずいぶん陰気臭い…

磨りガラス(フリー素材)

ガラス戸の向こう

この事件が起きるまで、俺は心霊現象肯定派だった。でも今は肯定も否定もしない。 今から十二年前、俺は仕事の都合で部屋を引っ越すことになった。 その部屋は会社が用意したもので、…

病院で会ったお婆さん

この話は実話です。私自身も体験したことなのですが、当時は何も気付きませんでした。 ※ それは私がまだ幼い頃です。記憶は曖昧なのですが、確か妹がまだ赤子だったので、私は小学生の低学年…

介護の闇

家には痴呆になった祖母がいる。 父方の祖母だが、痴呆になる前も後も母とは仲が良く、まめに面倒を見ている。 これは年末の深夜の話。 祖母の部屋から、何やらぼそぼそと呟く…

ピンポンダッシャーズ

昨年の夏の夜、月に2、3回、22時から23頃にピンポンダッシュされてた。 初め怖かったけど実害ないし、窓から見下ろした複数の後ろ姿は中学か高校生ぽくて、いい年してなにやってんだと…

砂風呂

昔ね、友達と海に行った時の話なんだけど。 砂風呂をやろうとして、あんまり人目が多い場所だとちょっと恥ずかしいから、あんまり人気のない場所で友達に砂かけて埋めてもらったんだ。 …

山(フリー写真)

テンポポ様

俺の地元には奇妙な風習がある。 その行事の行われる山は標高こそ200メートル程度と低いが、一本の腐った締め縄のようなものでお山をぐるりと囲んであった。 女は勿論、例え男であ…

禁忌の人喰い儀式

俺の親父の田舎は、60年代初頭まで人喰いの風習があったという土地だ。 とは言っても、生贄だとか飢饉で仕方なくとかそういうものではなく、ある種の供養だったらしい。 鳥葬ならぬ…

抽象的模様(フリー素材)

融合体

以前、井戸の底のミニハウスと、学生時代の女友達Bに棲みついているモノの話を書いた者です。 ……8月に物凄いことがあったので、以下にまとめました。フェイク込みなので辻褄が怪しいとこ…