夜中の足音
公開日: 心霊体験
今から10年前に体験したことを書きます。
当時は自衛隊に入隊したばかりで、夏の頃でした。
訓練が始まる前日、期待や不安でいっぱいだった私はなかなか寝付けませんでした。
布団の中で悶々としていた時に、廊下から「ダダダダダ…」と、誰かが走っているような足音がしました。
それも凄い勢いでです。
私が居た部屋は一番突き当たりで、部屋から廊下に出ると横は壁です。
その壁に向かって猛ダッシュしているように聞こえるのです。
朝になって足音について同じ部屋の人たちに聞いてみたところ、聞こえる人と聞こえない人に分かれていました。
その足音は毎晩聞こえてきました。
※
ある日、余りにも煩いので耐え切れなくなり、足音がしたのと同時に部屋の扉を開けました。
足音の正体を掴んでやろうと思ったのです。
……………。
誰も居ません。
足音も消えていました。
※
その次の日、某班長から夜中に足音が聞こえても無視しろとの通達がありました。
何でも以前、例の足音を聞いて正体を掴もうと廊下へ出た人が居たそうで…。
その人は朝になっても部屋に戻らず、何処にも居なかったそうです。
警察が来て捜索しても見つからず、未だに行方不明…。
もしあの時、廊下に出ていたらと思うと恐ろしいです。
駐屯地の横には病院があるのですが、あの廊下の壁の真向かいがちょうど遺体安置室だったと後日聞きました。