時空を超えた旅路

列車の模型

5年前、私は大学1年生のとき、突如重い精神病に襲われました。始めは単なるやる気のなさと思われたものが、次第に人混みや大学構内での幻聴へと発展し、聞こえるはずのない耳障りな悪口が私の日常を苛み始めました。

この状態は次第に悪化し、私は完全に外界から遮断されるよう部屋に引きこもるようになりました。友人たちも心配してくれましたが、その頃の私には誰の言葉も届かない状態でした。結局、病院を訪れたところ、統合失調症と診断されました。

治療と安定のため、私は大学を休学し、田舎へ帰る決断をしました。京都を発ち、乗り換えのはずだったY駅に向かうはずが、途中で道を間違え、見知らぬ駅に降り立ちました。不安に駆られながらも駅員に話を聞いたところ、その駅員の反応はおかしなものでした。

言われた通りの列車に乗り、予定の駅に向かいましたが、降り立ったのは閑散とした山間の小駅でした。その場で再度乗り換えることになりましたが、その駅員の対応はさらに奇妙で、話が通じないようでした。

幻聴に苛まれながらも、なんとか次の行動を試み、一人の老人と出会いました。老人は親切にも地図を書いてくれましたが、その文字は私には全く理解不能なものでした。しかし、その地図を頼りに進んだ結果、目的のバス停に辿り着くことができました。

目的の駅に到着した時の安堵感と言ったら、言葉では言い表せません。しかし、この一連の出来事が統合失調症の症状によるものなのか、それとも別の何かがあったのか、真相は今でも掴めていません。

長い休養を経て病は癒えましたが、あの時の出来事は今でも私の心に深く刻まれています。あれから5年が経ち、実家で見つけたその地図は、今も私の手元にあります。それが何を意味するのかは未だに解らないままです。

関連記事

キャンプ場

少女のお礼

この話は僕がまだ中学生だった頃、友人の家に泊まりに行った時に聞いた話。 友人と僕が怪談をしていると、友人の親父さんが入って来て、 「お前たち幽霊の存在を信じてるのかい? 俺…

山(フリー写真)

一つ目のおじちゃん

子供の頃、家族で山に行ったことがある。 山に着いたのはまだ朝方で、霧が辺りを覆っていた。 僕は親の言い付けを守らず、一人で山中に歩き入り、当然のように迷子になってしまった。…

暗い歌

数年前、ある靴屋で働いていた時の事。 あまり忙しくない店だったから、閉店後の片付けはスタッフが1人で行っていたんだ。 ある夜、僕が1人で閉店準備をしていると、店内にかかって…

赤信号(フリー写真)

ニコニコ

中学生の時の話。 当時6歳だった弟と剣道の道場に通っていた時のこと。 道場の近くに大きな交差点があるんだけど、そこの横断歩道で信号が赤から青に変わるのを待っていた。 …

ドライブイン

異界のドライブイン ― 消えた車と巨大な蛆

ドライブのはじまり この話は、いわゆるオカルトや怪談に分類されるかどうか、少し微妙なところがあります。ですが、個人的には今でも忘れられない、非常に恐ろしい体験でした。 そ…

鮒おじさん

小学校4年生の夏休みの事で、今でもよく覚えている。 川と古墳の堀を繋いでいる細い用水路があって、そこで一人で鮒釣りをしてたんだ。 15時頃から始めたんだけど、いつになく沢山…

揺れる木

2年程前の話。その年の夏、俺は大小様々な不幸に見舞われていた。 仕事でありえないミスを連発したり、交通事故を起こしたり、隣県に遊びに行って車に悪戯をされた事もあった。 原因…

インターホン

俺が5才の頃の出来事。 実家が田舎で鍵をかける習慣がないので、玄関に入って「○○さーん!」と呼ぶのが来客の常識なんだが、インターホン鳴らしまくって「どうぞー」って言っても入ってこ…

iPhoneを横持ちする子供(フリー写真)

未来のゲーム

誰にも信じてもらえない出来事を、これから話します。 当時、私はまだ子供で、初代ゲームボーイが世に出たばかりの時代でした。 そのゲームボーイを親に買ってもらい、幸せの絶頂に…

文房具(フリー写真)

クラス替えアンケート

子供の頃に奇妙な体験をした方は多いと思う。俺にもずっと気になっていることがある。 毎年3月が近くなると『クラス替えアンケート』のことを思い出すのだけど、俺以外にもこれと似たような…