何かの肉塊

公開日: ほんのり怖い話 | 怖い話

akkagawa1

僕が小学生の頃なので、もう20年くらい前になるのか。

母方の祖母(大正生まれで当時60歳)から聞いた話を思い出した。

祖母がまだ若かった頃、北海道の日本海側の漁村に住んでいた。

昭和初期の時代なので村は貧しく、漁業と少しの農業で生計を立てていた。

ある日、祖母が近くの川で遊んでいると、川上から何かの塊が流れてきた。

それは肉の塊だったらしく、祖母は大人を呼んで家に持って帰り、皆で焼いて食べたそうだ。

その肉がとても美味しかったと語る祖母が印象的だった。

当時の自分は小学生だったので、『祖母が若かった頃は肉食に馴染みが無かった時代だから、肉がとても美味しいと感じたんだな』と納得し、両親や兄と一緒に談笑したのだが、今思い返せば謎だらけの話だ。

昭和初期(1926~)の田舎の漁村で、魚や野菜を主食としていた時代に、なぜ肉の塊が川に流れている?

そもそも、その肉は何の動物の肉なのか?

何の肉かも判らないモノを焼いて食べるか?

祖母が64歳で癌により他界したので、今となっては真相は判らないが、母も44歳で癌により他界したので、今頃になって何の肉だったのかとても気になる。

とても美味しい何かの肉塊。

関連記事

沼(フリー写真)

そこなし沼にて

親父は教師をしており、俺は小学二年生まで教員住宅に住んでいた。 俺の家の裏は林になっていて、そこに『そこなし沼』と呼ばれる沼があった。 その周りではクワガタが沢山捕れるの…

電脳に棲む神

大学時代の友人の話。 そいつは結構なオタクで、今でも某SNSにガチオタな話題をバンバン日記に書くようなSE。 この前、たまたま新宿で会って「ちょっと茶でも飲もうや」というこ…

河原(フリー写真)

手を振る人形

2008年8月の終わり頃、一週間ほど夏休みが取れたので兵庫県の実家に帰省しました。 ある日、叔父(父の弟)に頼まれた簡単な仕事の手伝いを終え、二人車で帰路に着きました。 時…

ろうそく(フリー写真)

蛇を奉って欲しい

昔、化粧品店とエステサロンを兼ねた店に働いていた。 事情があり、店長の家に住み込みすることになった。 いつも店長は遅く出勤して来た。 「頭が痛い」「体が重い」と口癖…

きょうこさん

異界の名を呼ばれた日 ― きょうこさん

「これまで、いろんな霊体験をしてきたって言ってたけど、命の危険を感じるような、洒落にならないくらい怖い体験って、ある?」 ある日、ふとした会話の流れで、以前付き合っていた“霊感…

渓流(フリー写真)

一人で泳ぐ男の子

去年の梅雨の終わり頃、白石川に渓流釣りに行った時の事。 午前4時くらいに現地に到着し準備を終え、さあ川に入ろうとした時に、川の方から子供の声が聞こえるんです。 薄明るくなり…

廃墟でサバゲー

夏の終わりの頃の話。 その日は会社の夏休み最終日ということもあり、仲の良い8人を集め地元の廃墟でサバゲーをすることにしたんだ。 午前中に集まって、とことんゲームをしようと決…

廃墟

記憶の村の変貌

ある日、男性は突然、過去に訪れた村を思い出した。 それは数年前、一人旅をしていたときに偶然立ち寄った、小さな宿がある村だった。 その村では心温まるおもてなしを受け、強く印…

蔵(フリー写真)

土蔵の仏壇

僕の実家には大きな土蔵がありました。 先祖代々伝わって来た、訳の解らない掛け軸や扇子や壺などが、山ほどありました。 ある日、いい加減古いものは処分しようと、家族総出で整理を…

海

ロッカーの上の遺言

これは、もう何年も前の出来事になる。 当時、私はある会社の社員寮に入っていた。夏の終わり頃のことだった。その年に新たに採用された新入社員4人が、休日に連れ立って海水浴へ出かけた…