おかめの面
出張で東北の方へ行った。
仕事の作業が完了した時には、帰りの新幹線に間に合わない時間になっていた。
宿泊費は自腹になるので、安いビジネスホテルを探してチェックイン。
部屋に熱気が籠もっていたので、カーテンと窓を開けて換気をする。
ビールを飲みながらぼんやりテレビを見ていると、窓の外で何か動いたような気がする。
ふとそちらへ視線を向けると、おかめの面のようなものがあった。
下から覗き込んでいるように、鼻から上しか見えない。
ここは5階だぞ?
ゾッとして顔をそむけ、改めて見直すと何もない。
気持ち悪くなったので窓とカーテンをきっちり閉め、すぐベッドに潜り込んだ。
翌朝チェックアウトを待っている間、何気なく周りを見渡した時、血の気が引いた。
ロビーの壁には、夕べ見たおかめの面が掛けられていた。