一瞬の異界体験

アパート

その頃、私は一人暮らしのアパートに住んでいました。ある日、母から頼まれた回覧板を隣の部屋に渡しに行きました。

手早く回覧板をポストに入れた後、自分の部屋に戻りました。しかし、ドアを開けるとそこは明らかに私の部屋ではありませんでした。部屋は別の何か別の世界のようでした。

しかし、ドアの番号を確認すると、間違いなく自分の部屋の番号です。不安を感じつつ、「こんばんはー」と声をかけてみました。

すると、見知らぬボサボサ頭のおじさんが「はーい」と返事をして、部屋から出て来ました。その光景に驚き、「間違えましたー」と慌ててドアを閉めました。

その後、再び部屋の番号を確認しましたが、書かれている苗字も隣の部屋も、間違いなく私の部屋と隣の部屋でした。

「あれぇ?」と思いながら再びドアをそっと開けてみると、今度はいつもの我が家の風景がそこには広がっていました。ボサボサ頭のおじさんの姿もありませんでした。

これが私がこれまでに経験した唯一の不思議な体験です。あの日見たものが何だったのか、今でも時々思い出しては、ぞっとします。

関連記事

夜の山と月(フリー写真)

夜の山は人を飲み込む

十代最後の思い出に、心霊スポットとして有名なトンネルがある山に行った時の話。 俺と友人三人は金も車も無かったので、バスを乗り継いで現地に向かい、夜に歩いて帰宅するという、今考えた…

ヨウコウ

俺の爺ちゃんは猟師なんだけど、昔その爺ちゃんに付いて行って体験した実話。 田舎の爺ちゃんの所に遊びに行くと、爺ちゃんは必ず俺を猟に連れて行ってくれた。 本命は猪なんだけど、…

夜の繁華街

赤い服の男

かつて私が所属していたサークルの公演が終わったある夜、私たちは近くの居酒屋で打ち上げをしていました。 公演の開始時間が遅かったため、打ち上げが終わる頃には時計の針は既に午前一時…

峠(フリー写真)

夢の女と峠の女

俺は幽霊は見たことがないのだけど、夢とそれに関する不可思議な話。 中学3年生くらいの頃から、変な夢を見るようになった。 それは、ショートヘアで白いワンピースを着た二十代くら…

友子が二人

一人で繁華街を歩いていると、ガラス張りのカフェ店内の窓際席に一人でいる友子を見つけた。 友子の携帯に電話して驚かせようとしたが、友子は電話に気付かない。 じっと座り、目を左…

きさらぎ駅

98 :名無し:01/08 23:14 気のせいかも知れませんがよろしいですか? 99 :名無し:01/08 23:16 取りあえずどうぞ 100 :名無し:01/08…

ドアノブ

奇妙なセミナー

これは私が幼稚園の年長から小学校低学年の頃に体験した話です。 幼稚園年長の頃のある夜、母にそっと起こされ、着替えをさせられて車に乗せられた。 車は見た事もないような暗い裏道…

旅館(フリー写真)

不思議なおばあちゃん

小学校の修学旅行で泊まった旅館で体験した話。 風呂に入るため大浴場へ皆で移動している時、向こうから三人組のおばあちゃん達が歩いて来た。 その中の一人のおばあちゃんが俺と目…

渦人形(長編)

高校の頃の話。 高校2年の夏休み、俺は部活の合宿で某県の山奥にある合宿所に行く事になった。 現地はかなり良い場所で、周囲には500~700メートルほど離れた場所に、観光地の…

疑問符

ラッキーコール

私は工務店に勤めておりまして、3年程前にある幼稚園までバスの車庫を修理に行った時の事です。 その幼稚園はお寺が経営していまして、車庫は園舎を横に抜けた本堂裏の広場にありました。 …