天候を操る力
小学生の頃だったか。
梅雨の時期のある日、親友の友人という微妙な関係の子の家に遊びに行った。その親友と一緒に。
そこで三人でゲームなどをして遊んでいたら、あっという間に帰る時間になった。
しかし運悪く外は雨。二人とも傘は持っていないし、雨は止みそうにない。
※
仕方がないから濡れて帰るかと親友と話し合っていると、
「ちょっと待ってて」
と親友の友人が言った。
何をするのかと思い、親友と二人でじっとそいつを見つめてると…。
そいつは目を閉じて、指鳴りをする形で手を自分の顔の前に持って行った。
2、3秒の間だったかそのまま静止した後、
「パキン!」
と指を弾いて、とても澄んだ音を鳴らした。
何やってんだこいつと思いながらふと外を見ると、何と雨が止んでいた。
呆気に取られた自分達に、そいつは
「ごめん。まだ10分くらいしか持たないんだ。早く帰った方がいいよ」
と照れながら言った。
※
呆然としながら親友と別れ帰宅した直後、また雨は降り始めた。
今でもそいつとは縁が続いているし仲も良いのだが、この話をすると縁が切れてしまいそうなので、話題に出すことはなるべく避けている。
不思議な体験は沢山ある方だが、覚えている限りこの記憶が一番古い。