地底世界

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小学校2年生の頃の話。

山に囲まれた田舎に住んでいたんだけど、学校の帰り道で知らないおじさんとおばさんが俺に話しかけてきた。

知らない人には付いて行ってはいけないと言われていたけど、 何かその人たちは普通と違うというか、どこかで見た事がある感じ。

懐かしくて惹きつけるものを感じて話を聞くと、「地底の世界に遊びに行ってみないかな?」と誘われた。

俺は何と答えたか覚えていないのだが、その人たちに付いて行った。

学校の帰り道からそう離れていない所だったと思うのだが、リニアモーターカーのように空中を走る電車のような乗り物に乗せられた。

トンネルのような穴から入り、それは地球の内部に入って行った。

乗り物の先頭に座らせてもらい、地底の様子をワクワクして見ていた。

地底は大きなアリの巣のようにトンネルが幾重にも交差しており、分かれ道があったり複雑な交通網が出来ていた。

乗り物はタイヤも無く、宙を走り、トンネルの壁に当たる事も全く無かった。

地底内部には所々信号のようなものがあり、他にも似たような乗り物が走っていた。

初めて見る光景ばかりなので、相当興奮していたように思う。

あっと言う間に地底の世界に着いた。

田舎に住んでいた俺もビックリするぐらい自然が豊富な場所で、乗り物の停車する駅のような所は人工的だったが、それ以外は大自然そのままだった。

その駅も金ピカに光っていた。塗りたくった色というより、壁全体から放射しているように見えた。

植物がどれも異様に大きく、原始時代の地球みたいに思えた。

ビックリしたのが、黄金で出来たトウモロコシが生っていた事だった。

俺はそこで凄く大きな人を見た。俺の父さんや母さんよりずっとずっと大きかった。

その人も体全体が光り輝いていて、神様のようだった。

その人に呼ばれて、俺は連れて来られたらしい。

色々と話をしたはずなのだけど、何を話したのか殆ど覚えていない。

ただ、俺のことを生まれた時からずっと見ていて、これからも観察していく、俺が大きくなったらまた会う時が来る、その時まで一生懸命生きて欲しい、というような事を話してくれた。

帰って来て、その日に起きた事を両親に報告したのだが、あまり真剣には受け取ってくれなくてガッカリした。

翌日、帰り道にその乗り物のあった場所を記憶を頼りに探したのだが、見つける事は出来なかった。

あの場所のことを一生懸命思い起こすのだけど、昨日の体験はいったい何だったのか理解できなかった。

ただ、あの時連れて行ってくれたおばさんとはまた数年後、全然別の場所で会うことになるとはこの時は思いもしなかった。

それから時は経ち、小学校4年生の頃だったかな。夏休みに家族(父母、俺、妹)で旅行に行った。

場所は知らないんだけど、長野県だったと思う。

高原で少し高度が高い自然公園みたいな所。簡素なアトラクションもあり、小さな遊園地みたいな所だった。

父さんは妹とペアを組みアトラクションに夢中になっていて、母さんと俺のペアも遊んでいたのだが、母さんは疲れてベンチで休憩していた。

そんなに広い遊園地じゃないし、俺は一人ブラブラしていた。

またあの時と同じ感覚(前触れと言うか、第六感か何かで来た事を感じる)を覚えた。

まるで誘導されるかのように人通りの少ないその場所に来た。

あの時のおばさん(子供の俺にとってはおばさんだが、実際は二十歳前後の人かもしれん)が、もう一人の女の人を連れてやってきた。

上手く表現できないのだが、見た目は地球人なのだが人間を越えた優しさに包まれた人だった。

俺はその人を見た時に、一目で本当の母親だということを思い出した。

懐かしさで一杯になった。

めちゃ長いのである程度簡略して話すと、俺は元々地球人ではなく、その人と同じ星で生活していたのだが、地球はこれから大変な変革期を迎えていて、そのために俺は地球に送りこまれた。

地球人として地球人の母親から産まれ、肉体的には完全な地球人として、その役目を無事終えるためにやってきた(肉体としては今の母親から生まれたのだが、霊としては地球人とは違うらしい)。

もちろん俺だけじゃなく、相当数の宇宙人の魂を持った者が地球人として送り込まれているというような事を教わった。

俺はそんな話より、その本当の母親に会えた事が嬉しくて、わんわん泣いた。

そしてその時も、

「これからもあなたを近くから見ています。

次はあなたが大きくなって、やるべき事を完了した頃に会う事になります。

寂しいでしょうが、私たちは近くで見ています。

地球で生きる事は、あなたにとって大変なことでしょうが、頑張って下さい」

みたいなことを言われ、一方的に別れを告げられた。

俺は今の家族を捨てても良いから連れて行って欲しいとお願いした。それ程、この人の事を慕っていたのだ。

だがそれは叶わぬ夢、笑顔で黙って笑っているだけだった。

彼女達が消えた後、俺は元の場所に泣きながら戻ったのだが、さっきまでの輝く人と比較し、今の家族の輝きの無さにガックリして、戻された現実に更に泣けた。

前回のこともあり、俺が経験した不思議な事は親にも話さないようになった。

帰りの車の中でも、子供ながらどう捉えれば良いのかずっと考えていた。

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