幽霊船

公開日: 不思議な体験 | 怖い話

bg-07

これは、もう亡くなった曾祖父に聞いたお話です。

曾祖父が亡くなる数ヶ月前、どうしたことか、親戚を集めて色々な話を聞かせてくれたのです。

私の実家は鹿児島県のとある離島なんです。凄く田舎で、さらに曾祖父の時代ですから電気とかもまだちゃんと通っていなかった時代の話です。

ある日、曾祖父は知合いと漁に出たんです。嵐になりそうな日だったらしいです。魚って嵐の前とかって海でじっとしてるから釣れやすいんですよ。

それで、どんどん釣れるのでどんどん沖に出て漁をしていたらしいのです。

知合いの船とはとっくに離れてしまってもう見えなくなっていたみたいです。

そうしたら、急に風が強くなり海が荒れてきて、かなりやばい状態になったそうです。

そろそろ帰らないと真面目にやばいと思って帰ろうとしたそうなんですが、魚が沢山釣れるのに夢中で、島はかなり遠ざかっているのに気付かなかったそうです。

霧は濃くなってきたし、波は荒れてくるし、かなり覚悟を決めたそうです。

そうしたところ、霧の向こうから何やら大きな舟の影が見えたんです。

『乗り移らせてもらえば助かる!』とっさにそう思って、舟がこちらに近付いて来るのを待っていました。

当時、木舟には水が入ってきたとき、すくって捨てるように杓子が備え付けられていたんです。

近付いてきた大きい舟の人が上から杓子を渡すようにジェスチャーしました。

曾祖父は嫌な予感がしてとっさに杓子の底を割って大きい舟に乗っている人に渡したんです。

そうしたらその人は杓子で何回も曾祖父の舟に水をすくっていれようとするんです。

もちろん、底が割ってあるので水は溢れます。曾祖父は気が長くなる程ずっと大きい舟の人たちに杓子で水を入れられていたそうです。

それから、霧が晴れてきて、大きい舟はどんどんと遠くなって行きました。

曾祖父は必死に舟を島まで漕いで帰ったそうです。

沖では、みんなもう曾祖父はダメだろうと思っていたみたいなので、かなり吃驚されたそうですが…。

最後に、曾祖父が言ったのは『あの幽霊舟に、一緒に漁に出た知合いが乗っているのが見えた。そいつは帰ってこなかった』と言っていました。

それから数ヶ月して曾祖父は亡くなりました。それから、日本昔話で幽霊船の話を見て凄くゾッとしました。

本当かどうかは知らないのですけど、実家の島は毎年よく人が海で行方不明になったり、不思議なことが起こったりするみたいです。

関連記事

祖母のしたこと

私の一番古い記憶は3歳。木枯らしの吹く夕方、一人でブランコを漕いでいるところ。 手も足もかじかんで、とても冷たい。でも今帰れば母に叱られる。祖母に迎えに来て欲しい、ここはいつも来…

死者と会う方法

日本で2003年に『黄泉がえり』という映画が放映された。これは死者が蘇るというタイトル通りの話ではあるのだが、イギリスには実際に死んだ者と会える方法があるという都市伝説が存在する。 …

暗い歌

数年前、ある靴屋で働いていた時の事。 あまり忙しくない店だったから、閉店後の片付けはスタッフが1人で行っていたんだ。 ある夜、僕が1人で閉店準備をしていると、店内にかかって…

異世界から元に戻れなくなった

この話は2013年の8月頭くらいの話。 爺ちゃんの49日のために行った先での出来事だから、恐らくその辺りだ。 その日はクソ暑かった。休日だったその日は、朝から爺ちゃんの法要…

エアコン(フリー写真)

なんまいしゃん

これは父親から聞いた、自分が子供の頃に体験した話。 自分が3歳の時、四十度以上の高熱を出したらしい。 その時、深夜23時50分頃。 熱に魘されて布団に寝ていた俺が突然…

子供の手(フリー写真)

帰って来た子供

町の外れに、ある夫婦が住んでいました。 その夫婦にはまだ幼い子供が居ました。 ※ ある日の事です。 外で遊んでいた子供が、泣きながら家に帰って来ました。 母親が心…

魂(フリー素材)

守護霊の助け

若い頃、友人のBさんと久々に会い、飲みの席で「本格的な占いをお互いしたことが無い」という話で盛り上がったことがありました。 酔った勢いで帰り道、幾つか閉まっていた占い場の中から適…

廃屋の窓(フリー写真)

半分の家

じいちゃんから聞いた話。 従軍中、幾つか怪談を聞いたそうだ。その中の一つの話で、真偽は不明。 ※ 大陸でのこと。 ある部隊が野営することになった。 宿営地から少し…

子供にしか見えない

その友人親子は夕方に近くの公園まで散歩をするのが日課でした。 友人の仕事の関係上、いつも日暮れ前には帰宅していましたので、夕食ができるまでの間に4歳になる息子と毎日遊んであげてい…

iPhoneを横持ちする子供(フリー写真)

未来のゲーム

誰にも信じてもらえない出来事を、これから話します。 当時、私はまだ子供で、初代ゲームボーイが世に出たばかりの時代でした。 そのゲームボーイを親に買ってもらい、幸せの絶頂に…