自衛隊での体験談

公開日: 不思議な体験 | 心霊体験

zander_warehouse

ちょっと専門用語が多いので分かり難いかもしれない。

高校卒業後すぐに自衛隊に入隊した俺だったんだが、7月の後期教育のある日、駐屯地にある小さい資料館の掃除があったんだ。

班長の説明では、この駐屯地は元々海軍航空隊の基地で、旧日本軍の遺物みたいなものが置いてあり、駐屯地祭で一般開放されるからそれに備えた掃除をやるのが教育隊の恒例行事なんだとか。

軍オタの同期は凄い喜んでたが、俺は興味がないのでどうでもよかった。

寧ろ戦闘訓練や射撃訓練、行軍訓練やるより楽でいいや程度に思ってた。

それで掃除が始まると俺は楽そうなショーケースの中の掃除をやっていたんだが、ラップみたいなのに包まれた古い手紙みたいなのを手に取って台から外そうとした。

染みが入り字も薄くなっていて読み難いんだけど、これは何だと思い読もうとしたら、何故か物凄く悲しくなり、凄い勢いで涙がボロボロと流れたんだよね。字も読めないのに。

俺は日本軍信仰とか全くないので、自分でもなぜ泣いてるのかよく分らなかった。

というか涙が流れ始めてから自分が自分じゃないような変な感覚に陥ってて、その後マッチョな同期と班付に抱えられて医務室へ運ばれたらしいのだが、その事は全然覚えていない。

ただ、同期や班付の話だと、物凄い自虐モードで、ずっと何かに謝ってたらしい。

その日の課業外、すっかり復活した俺はキレ気味の別の班の班長に呼び出されて、色々聞かれるはめになった。

キレかかっていて怖いので全てを正直に話すと、どうもその班長は「見える人」みたいで、心霊事例でノイローゼになるケースもあるので調べておきたかったそうな。

見える班長の話だと、演習場の中にある旧日本軍時代に弾薬庫や滑走路だった場所には日常的に居るそうで、そういった類のものが悪さしていないかという質問だったが、生まれてこの方幽霊は見た事ないし、そういった体験など全くないので、見える班長の期待にはそぐわなかったようだが…。

結局同期に下手な不安を与えると色々まずいので、俺は表面上旧日本軍信者で、毎年終戦記念日には靖国神社に参拝してるような右翼君という事にされた。

俺は元々大学進学の資金確保の為に入隊したので2任期、4年で退官。

昨日開かれた同期会の飲み会で、東日本大震災に派遣されていた現役組の心霊、非心霊含めた色々洒落にならない話でどんよりしていた頃。

丁度あの手紙を思い出して見える班長に訊いてみると、あの手紙は志願した特攻隊員が家族に宛てた最期の手紙で、その遺族から提供して頂いた大変貴重な資料だった。

そして、その特攻隊員の戦果は戦果不明(見える班長曰く特攻失敗)だったそうだ。

その後、見える班長に色々と話を聞かせてもらったのだが、旧日本軍兵士の幽霊というのは風貌からとても怖いイメージがあるが、基本的にこちらからちょっかいを出さなければ害のない幽霊が殆どだそうだ。

逆にちょっかいを出す相手に対してはとことん容赦が無いとの事。

そういった場所への心霊スポット訪問は絶対やめようね。

そして俺がこの体験をした時、見える班長は俺が手紙に何か悪戯をしたと思っていたようで、俺を呼び出した時は泣いたり笑ったり出来ないぐらいシバいてやる予定だったと笑顔で言われた。

あの時、嘘を言ってたらと思うと背筋がゾっとする。

関連記事

伊勢神宮参り(宮大工7)

オオカミ様のお社を修理し終わった後の年末。 親方の発案で親方とおかみさん、そして弟子達で年末旅行に行く事になった。 行き先は熱田神宮と伊勢神宮。 かなり遠い所だが、三…

和室(フリー写真)

連鎖と数珠

一年経ってようやく冷静に思い出すことができるようになった出来事がある。 去年のちょうど今頃の話だ。 その日は金曜日で、俺は会社の同僚数人と何軒かの店をハシゴして、すっかり良…

公園

代弁者

今年の秋頃かな。二条城の周りを走っていた時の話です。 トイレがあるんですけどね、そこに三つほど腰掛けやすい石があるんです。 そこで走った後の興奮を抑えるために、ぼんやりと座…

夜の自動販売機(フリー写真)

売り切れの自動販売機

ある夏の深夜、友人と二人でドライブをした。 いつもの海沿いの国道を流していると、新しく出来たバイパスを発見。 それは山道で、新しく建設される造成地へと続くらしかった。 …

霧のかかる山(フリー写真)

酒の神様

去年の今頃の時期に結婚して、彼女の実家の近くのアパートに住んでいる。 市内にある俺の実家から離れた郡部で、町の真ん中に一本国道が通っており、その道を境に川側と山側に分かれている。…

アパート(フリー写真)

引っ掻く音

大学時代にアパートで一人暮らしをすることになった。 そのアパートは、太陽の光が当たる二階の部屋と、駐車場に近い一階の部屋が空いていて、俺は駐車場が近い一階の部屋に住むことにした。…

ろうそく(フリー写真)

蛇を奉って欲しい

昔、化粧品店とエステサロンを兼ねた店に働いていた。 事情があり、店長の家に住み込みすることになった。 いつも店長は遅く出勤して来た。 「頭が痛い」「体が重い」と口癖…

スーパーマーケット(フリー写真)

台風の日の親子

以前スーパーで働いていた時の話。 その日は台風が近付いていて、午前中は雨になる前に買い物をしておこうと客がいつもより多かった。 夕方を過ぎて雨が本降りになると、客はほぼ来な…

母からの手紙

息子が高校に入学してすぐ、母がいなくなった。 「母さんは父さんとお前を捨てたんだ」 父が言うには、母には数年前から外に恋人がいたそうだ。 落ち込んでいる父の姿を見て、…

猫

猫の最後のお別れ

20年前のある夏の夜のことです。私たち兄弟が夏休みを利用して祖父母の家に泊まりに行っていたときの話です。我が家にはとても可愛がられていた猫が一匹いましたが、その日は夜遅くまで帰って来…