日暮里駅の階段

公開日: 不思議な体験 | 怖い話

階段

友人との怪談話の中で、ある興味深い話を耳にしました。それは、日暮里駅の改札を出て右手にある階段での話です。友人の知人から聞いたというその話では、「その階段の23段目で振り返ると、面白いものが見える」とのことでした。

罰ゲームの結果、深夜2時前に一人でその階段を訪れることになりました。周囲はコンビニなどがあり、さほど怖い雰囲気ではありませんでした。それでも、階段を登り始めた途端、背筋に冷たい寒気が走り、思わず鳥肌が立ちました。

何とか我慢しながら23段目に到達しましたが、何故か振り返るのが怖くてたまりませんでした。しかし、罰ゲームの証拠写真を撮るために、デジカメの電源を入れ、勇気を振り絞って振り返りました。

そこには、下から5段目くらいの位置に黒い塊があり、「ん?」と思う間に、それが鮮明になりました。よく見ると、黒髪の少女が体育座りで座っていて、突然立ち上がり、私の方へ向かって歩いてきました。その少女は、私の手前2メートルほどまで来た時、顔がぼやけてはっきりしませんでしたが、口元だけが何となく笑っているように見え、何かを言っているようでした。

その瞬間、背後から「帰れ、帰れ」という声がしました。振り返ると、一人のおばさんが「帰らんといけんよ」と言っていました。その声を聞いた途端、前の少女がふわっと消えるように感じました。私は慌てて階段を駆け上がり、おばさんのもとへ行きました。振り返ると、少女の姿は消えていました。

おばさんに少女のことを尋ねましたが、「知らんでええからはよ帰り」と言われただけでした。その後、無人の階段をデジカメで撮影し、友人にその話をしましたが、信じてもらえませんでした。これまで幽霊を信じていなかった私ですが、この体験で考えが一変しました。

今では幽霊の存在を否定できず、肯定派に転向しています。来週、友人を同じ階段に送り込む予定ですが、もし日暮里駅の階段について何か情報をお持ちの方がいれば、ぜひ教えてください。

関連記事

火傷の治療

昭和の初め頃、夕張のボタ山でのお話。 開拓民として本州から渡って来ていた炭鉱夫Aさんは、爆発事故に見舞われた。一命はとりとめたものの、全身火傷の重体だった。 昔の事とて、ろ…

コンサートホール

某コンサートホール

以前、某コンサートホールでバイトをしていました。その時の体験を話そうと思います。 初めに気が付いたのは、来客総数を試算するチケット・チェックの場所でした。 私たちはもぎった…

セブンイレブン

未来のお店

俺が6歳の頃の話。当時の俺は悪戯好きで、よく親に怒られていた。 怒られたら泣きながら「こんな家出てってやるー」と言って家出し、夕御飯には帰って来るということがよくあった。 …

夏みかんの木(フリー写真)

夏みかんの木の神様

少し不思議な話を親から聞きました。 自分の親は今から25年前、八丈島という所に転勤になったそうです。 そこの社宅(一軒家)の庭に、一本の夏みかんの木が植えてあったのですが…

死を恐れる男

ある村に、死を異常に恐れる男がいた。 特に男が恐れていたのは「自分が埋葬された後に、棺の中で息を吹き返してしまうのでは?」というものであった。 その男が病気の床にあるとき、…

ざわつき声の正体

高校を卒業し、進学して一人暮らしを始めたばかりの頃の話。 ある夜、部屋でゲームをしていると、下の方から大勢の人がざわざわと騒ぐような声が聞こえてきた。 俺は『下の階の人のと…

鬼になった武士

文政十二年(1829年)、6月8日のこと。遠野南部藩からの命令で、この町で山狩りが行われた。 これは館野武石衛門という猟師がリーダーとなり、辺り一帯の村や町に住む武士や町人、農民…

山神様

これは、俺の曽祖父が体験した話です。大正時代の話ですので大分昔ですね。 曾じいちゃんを、仮に『正夫』としておきますね。 正夫は狩りが趣味だったそうで、暇さえあれば良く山狩り…

十和田湖(フリー写真)

十和田湖の竜神様

十和田湖をご存知ですか? 十和田湖周辺は大きなオオクワガタが採れる事で有名で、初夏にワクワクしながら一人、自炊車泊旅行に向かった。 湖はとても透明度が高く、暑かったから湖…

林

山の女の子

昔、私が小学3年生のとき、毎年夏になると両親は私を祖母の家に連れて行っていました。その町は都心から離れたベッドタウンで、まだ発展途上の田舎でした。周囲は広い田んぼや畑、雑木林が広がっ…