無音の電車

ローカル駅(フリー写真)

学生時代の当時、付き合っていた恋人と駅のホームで喋っていました。

明日から夏休みという時期だったので、19時を過ぎても空が明るかったのを覚えています。

田舎なので一時間に一本しか電車が来ず、来ても一人か二人しか降りる人は居ません。

19時半を過ぎた頃、19時の電車が私達を通り過ぎてようやく空が赤くなった事を知り、そろそろ帰ろうかと立ち上がりました。

その時です。トンネルの向こうでライトが見えました。

19時の電車の後は21時着の電車しか無いはずなので、彼と二人で「何だろうね?」とトンネルを眺めていました。

すると、トンネルの中から見慣れぬ緑色をした車両の電車が出て来ました。

この地域に緑色の電車なんて走っていません。

私と彼は呆然としながら、緑の電車が近付いて来るのを見ていました。

すると彼がボソッと言いました。

「あの電車、音がしないな」

そう言われてみて初めて気が付きました。

電車の走るガタンゴトンという音が無く、無音で私達に近付いて来るのです。

スピードは普通の電車くらいでしょうか。音の無い緑の電車は、私達の前に停まりました。

そしてスーッとドアが開き、中を見ると無表情な運転士が私達をジッと見ていました。どんな人かはあまり記憶に無いです…。

咄嗟に彼が「あっ、乗りません」と言うとドアが閉まり、また無音で動き出しました。

そして電車が目の前を通り過ぎ、後部を見せた時に気持ち悪いものを見てしまいました。

後部に20人くらいの人がぎゅうぎゅうに詰まって居て、全員が私達をジッと見ていました。まさに老若男女といった感じの人達です。

その後の記憶はあまり無いです。

先日、同窓会で彼に久しぶりに会い、思い出したので書きました。

渦人形(長編)

高校の頃の話。 高校2年の夏休み、俺は部活の合宿で某県の山奥にある合宿所に行く事になった。 現地はかなり良い場所で、周囲には500~700メートルほど離れた場所に、観光地の…

浅間神社の氏神様(宮大工4)

とある秋の話。 俺の住む街から数十キロ離れた山奥にあるA村の村長さんが仕事場を訪れた。 A村の氏神である浅間神社の修繕を頼みたいという。 A村は親方の本家がある村であ…

プルタブ(フリー素材)

不思議なプルタブ

小学5年生の夏、集団旅行に行った帰りの事。 貸し切りの電車の中、友人と缶ジュースを飲みながら雑談していた。 私はスポーツ飲料を飲み干し、その缶を窓辺に置いて網棚の上から荷物…

鬼が舞う神社

叔父の話を一つ語らせてもらいます。 幼少の頃の叔父は、手のつけられない程の悪餓鬼だったそうです。 疎開先の田舎でも、畑の作物は盗み食いする、馬に乗ろうとして逃がすなど、子供…

団地(フリー写真)

ずれた世界

母がまだ幼い頃、ある団地に住んでいた時の話。 一番上の姉(伯母)と母が外で遊ぼうと階段を降りて行くと、一階の団地の入口に見知らぬおばさんが居た。 その団地には、郵便受けが…

白い犬(フリー写真)

おかげ犬

知り合いが体験した話。 とある鄙びた峠道を歩いていると、いつの間にか犬が一頭、後をついて来る。 痩せた白い体毛の犬で、首には大きな風呂敷包みを提げている。 彼の方を…

天国(フリー画像)

人生のやり直し

俺は一度死んだことがある。 これだけだと訳が解らないと思うので詳細を説明する。 ※ 小一の頃、夏休みが終わり二学期が始まった。運動会や遠足もあったし、毎日普通に生活していた。…

何で戻ってくるんだ

3年程前の話。私は今でも、バイク好きで乗ってるんですけど、3年前は俗に言われる走り屋って奴だったんです。 その時行ってた峠の近くに湖があって、そこに大きな橋がかかってるんです。 …

新聞受けから…

これは俺が2年前の6月14日に体験した本当の話です。俺が前住んでたアパートでの出来事。 その日、俺はバイトで疲れて熟睡していた。 「ガタガタッ」という異様な音で俺が目を覚ま…

ビル(フリー写真)

何も無い空間

俺が建設業の見習いをしていた2、3年前の体験です。 その年の夏は滅茶苦茶暑くて、その日は特に忙しかった。現場は既設ビル内。 何とか定時までに終わらせなければならず、上の人に…