繰り返し見る夢

公開日: 不思議な体験 | 怖い話

990x700_8788_Blue_Clouds_2d_abstract_dream_cloiuds_surrealism_children_picture_image_digital_art

夢に関する不思議な話を。

同じ家や場所を繰り返し夢に見ることはあるだろうか。

別に続きものという訳ではなく、ホラーであったり日常的であったりと、関連性は無いけど舞台がいつもそこという夢。

大抵は昔住んでいた家だとか、友人や親戚の家だったりとか、或いは全く覚えがない場所だが、よく夢に見るということがある。

学校でそんな話をしていて、友人が教えてくれた話。

彼は昔からよく夢に見る場所があった。洋風のそこら辺に普通にある住宅で2階建てだと言う。

いつから見るようになったのかは覚えていないが、中学に入った時には既に『ああ、またか』と思えるくらいの頻度だった。

彼にはとても仲の良い友人Kがいた。

家が近所で母親同士も仲が良かったため、お互いの家を行き来して毎日のように遊んでいた。

好きな漫画もゲームで使うキャラも一緒。成績も同じくらいで、身長体重も変わらない。

中学1年の時にいつも通り遊んでいると、夢の話になった。

「いつも同じ家の夢を見るんだよ」

食いついてきたKも同じような体験をすることがあるらしい。

メモ用紙に家の間取りを書いて説明すると、Kも同じだと言った。

色々話している内に、全く同じ家のように感じた。

奇妙な偶然に好奇心が刺激され、お互いの夢の話をすることが多くなった。

家は割と広くて4〜5人の家族が住めそうな所。

だけど二人とも1階の角部屋だけは入ったことがない。

中学という微妙な年齢のこともあって、どちらが先にあの部屋に入るか競争しようということになった。

その頃から悪夢が続くようになった。

家の中で包丁を持った殺人鬼に追い回されたり、姿の見えない幽霊に追いかけられたり、例の部屋に近づくことは出来なかった。

最初は「俺たち前世で兄弟だったんじゃね?」と盛り上がっていたが、次第に夢の話はしなくなった。

彼曰く、あまりに似すぎている自分たちが正直気味が悪くなったと。

顔は似ている訳ではないけど、本人達にしか解らないシンパシーのような物があるんだと。

それは彼も同じだったようで、高校は別の所を選んだ。

でも仲の良い親友であることには変わりなく、電話で話したりはしていた。

部活や進路を決めるような時には、お互い別々にしようと暗黙の了解があった。

大学に進む頃には、違う生活環境で次第に疎遠になっていた。

冬休みに実家に帰省すると、久しぶりにKから年賀状が届いていた。

年賀状にはペットの犬の写真。

『ああ、チョコまだ生きてるんだ』と懐かしかった。

印刷の「あけましておめでとう」の下に小さく書かれたKの筆跡。

「あの部屋に呼ばれた。俺が先に行くぜ」

その言葉に血の気が引いた。

数日前に見た夢で、彼も部屋に呼ばれたのだ。

変わらず一定周期であの夢は見ていたが、その時はなんだか雰囲気が違った。

誰も居ない家の中を歩いていると、なんとなく『ああ、今ならそこに行けるな』という気分になったと言う。

ただ彼は行けなかった。

行こうとした時に携帯が鳴って起こされた。

学校が始まって暫く経った頃に母から電話があった。

Kが行方不明になったらしい。

一人暮らしをしていたアパートから忽然と姿が見えなくなったと。

何か知らないかとKの親が聞きにきたと言うのだ。

もちろん夢の話など出来る訳もなく、知らないと言うしかなかった。

それから半年以上が経ったが、まだKは見つからない。

疎遠になってはいたが、とても寂しくて仕方がないと落ち込んでいた。

先を越されたと悔しい気持ちもあるそうだ。

たいして怖くもない話かもしれないけど、正直俺はぞっとした。

俺もまた同じように毎度夢に見る家がある。

夢で見たことを他人に話してはいけないと祖母が言っていた。

それまでなんとなく言いつけを守っていたけど、そういうことかと納得した。


note 開設のお知らせ

いつも当ブログをご愛読いただき、誠にありがとうございます。
今後もこちらでの更新は続けてまいりますが、note では、より頻度高く記事を投稿しております。

同じテーマの別エピソードも掲載しておりますので、併せてご覧いただけますと幸いです。

怖い話・異世界に行った話・都市伝説まとめ - ミステリー | note

最新情報は ミステリー公式 X アカウント にて随時発信しております。ぜひフォローいただけますと幸いです。

関連記事

おかめの面

出張で東北の方へ行った。 仕事の作業が完了した時には、帰りの新幹線に間に合わない時間になっていた。 宿泊費は自腹になるので、安いビジネスホテルを探してチェックイン。 …

銭湯の鏡

貧乏なアパート暮らしの女です。 風呂が無いので銭湯に行ってる。 いつもの銭湯が休みだったから、ちょっと遠くの銭湯に行った。 浴室には数人のオバちゃんがいて、楽しそうに…

繋ぎ目

中学生の頃の夏の話。 そろそろ夏休みという時期の朝、食事を終えてやっとこ登校しようと、玄関に向かったんだ。 スニーカーのつま先を土間でとんとんと調整しながら引き戸の玄関をガ…

山道(フリー素材)

上位の存在

厳密に言うと、この話は俺が「洒落にならない程怖い」と思った体験ではない。 俺の嫁が「洒落にならない程怖い」と思ったであろう話である。 俺の嫁は俗に言う視える人で、俺は全くの…

某宗教団体

某宗教団体(J・W)で、伝説的になっている話をひとつ書き込みます。 ある姉妹(その教団内ではバプテスマ=洗礼を受けた女性をこう呼びます)が、王国会館(集会を開く場所)の周りで草刈…

湖(フリー写真)

弘法大師の涙雨

昔テレビで見た話。 今から20年程前、香川県民の水瓶とも言える満濃池が干ばつで干上がった。 満濃池は、かの弘法大師が築いた溜め池で、近隣に幾つもある灌漑用池が干上がる事が…

おにいさん祭り

生まれは都市圏だけど、まだ緑が多かった頃なので遊び場には事欠かなかった。家の近くに大きな空き地があって、毎年盆踊りをそこでやっていたのを覚えてる。 その空き地が潰されて大きな工場…

ランドセルの女の子

叔母さんのお守り

小学2年生くらいの時から、妙な光の玉を度々見るようになった。 家族にその話をしても嘘つき呼ばわりされるので、今度その光の玉を見た時は証人となる人を連れて来て一緒に見ようと頑張っ…

白い空間

誰もいない世界

私は2年前まで看護師をしていました。 今は派遣事務の仕事に就いていますが、我ながらよくあの殺人的なシフトをこなしていたなと感心します。17、8時間の拘束は当たり前の世界ですから。…

江戸時代にタイムスリップ

思い出すと身の毛もよだつが、話さずにはいられないので書いてみる。 平成20年の6月24日、外回りの仕事で顧客名簿を片手にH市内を走り回ってた。 この日は梅雨独特のジメジメした気温で、汗…