神社にいた友達

公開日: 不思議な体験

田舎の風景

小学生の頃、私は家の近くにある小さな神社でよく遊んでいました。

友達と集まって、境内を走り回ったり、鬼ごっこをしたり、ただただ無邪気に過ごすのが日課でした。

ある日、いつものようにみんなで遊んでいると、見覚えのない子がひとり混ざっていました。

とはいえ、当時は子供同士なら誰でもすぐに打ち解けてしまう年頃です。

その日も自然な流れでその子も遊び仲間の一人になっていました。

そして、翌日も、そのまた翌日も——気がつけば、その子はいつも神社に現れ、私たちと一緒に遊ぶようになっていました。

特に私はその子と仲良くなり、やがて他の友達がいなくても、二人で神社に集まって遊ぶようになりました。

というよりも、私がひとりで神社に行くと、必ずその子がそこにいて、いつも変わらぬ笑顔で迎えてくれるのです。

自然と、「神社に行く」=「その子に会いに行く」という感覚になっていきました。

境内では私たちの姿を、巫女さんたちが穏やかな目で見つめていたのを、今でもよく覚えています。

そんな日々が私はとても好きでした。

年月が経つにつれ、私は神社に行く機会が少しずつ減っていきました。

その子とも徐々に会わなくなりましたが、それでも時々、ひとりでふらりと神社を訪れると、彼(彼女)は変わらずそこにいて、私と遊んでくれました。

不思議なことに、私はその子に学校や家のことを聞いたことがありません。

本能的に、聞いてはいけないような気がしていたのかもしれません。

それでも、私にとってその子は間違いなく「友達」でした。

やがて私は県外に引っ越し、そして今、大学4年生になりました。

つい先日、何かのきっかけでふと、あの神社とその子のことを思い出しました。

懐かしさに駆られて、ネットでその神社のことを調べてみたのです。

すると、驚くべき事実を目にしました。

あの神社は建てられてから現在に至るまで、約100年間、ずっと無人だったというのです。

つまり——巫女さんも、そしてあの子も——。

あの時、私が毎日のように遊んでいたのは、誰だったのでしょうか。

そして、あの神社の静かな境内に、今でも誰かが子どもを見守るように立っているのだとしたら……。

私はもう一度、あの場所に足を運んでみたくなりました。

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