二匹の金魚

公開日: 心霊ちょっと良い話

金魚(フリー写真)

小学2年生の頃、学校から帰って来たら、飼っていた黒い金魚と赤い金魚が死んでいた。

家の中には誰も居らず、心おきなく号泣していたら、遠方に住んでいる叔父二人が突然うちにやって来た。

うちに来る事なんか、生まれてこのかた一度もない二人。

「仕事で県庁に来たんで寄ってみたら、なんね、あんた泣いてたのね?」

「泣いてないです」

「一人でお家に残されて、寂しくてえんえん泣いてたんじゃないね?」

「泣いてないもん」

「お父さんお母さんを大事にしてね」

そう言って叔父二人は帰って行ったのだけど、帰宅した両親にその話をしたら、母が田舎の叔父の一人の家に電話した。

そしたら驚いたことに、その日叔父は二人とも仕事でずっと町役場に籠っていたという。

幼い私が寂しくないよう、金魚が叔父たちの姿を借りて挨拶して旅立ったのかなと思った。

関連記事

旅館(フリー素材)

お気遣い

私は趣味で写真を撮っています。 主に風景ばかりで、休みが取れた時は各地を回っているのですが、その時に宿泊した民宿での体験です。 ※ その日、九州の方に行っていたのですが、天候…

カップル(フリー写真)

彼女の夢

若干長いんだけど、もう見えなくなった彼女の心霊的な話。 中学の頃は不良だった。 身も心も荒んでいて、周りは受験を意識していた中学3年生の夏。 他校でやらかしてしまい…

不思議なお姉さん

小学2年生のころの話。小さいときに母ちゃんが死んで、親父に育てられてた。 父子家庭が原因か内向的な性格で、小学校でもひどいいじめにあってた。 1年生のころからずっといじめ続…

夜のオフィス(フリー素材)

中小ソフトウェアハウス

中小ソフトウェアハウスに勤めていた友人Kの話です。 あるプロジェクトの納期がきつくデスマーチとなり、Kとその先輩は連日徹夜で作業していたそうです。 ところが、以前のプロジ…

紫陽花(フリー写真)

紫陽花

去年の今頃、ばあちゃんが死んだ。 ずっと入院生活だったし、医者からも 「いつ逝ってもおかしくない」 と言われていて、心の準備はできていたはずだったがやはり悲しく、棺…

猫の親子(フリー写真)

魔法の絆創膏

俺がまだ幼稚園生だった頃の話。 転んで引っ掻き傷を作って泣いていたら、同じクラスのミヤちゃんという女の子に絆創膏を貰ったんだ。 金属の箱に入ったもので、5枚くらいあった。 …

庭に咲く花(フリー写真)

光る玉

私の母は私を産む前に二度流産しており、三度目(私)の時も、何度か駄目になりかけていたそうです。 妊娠4ヶ月頃の時も、やはり体調を崩して流産しかけたらしいのですが、その時、庭で二人…

手を繋ぐ親子(フリー写真)

おとうさん、こっち!

お隣に、両者とも全盲のご夫婦が住んでいらっしゃいます。 この話は、ご主人から茶飲み話に伺ったものです。 ※ ご主人は16歳の時に、自転車事故で失明されたそうです。 当然…

教室と黒板(フリー写真)

最後の宿題

俺の友達は、昔風に言えばヤンキーだった。 高校もろくに行かず、友達と遊び回っていたそうだ。 先生達は皆サジを投げていたそうだが、友達の担任の教師だけはそうではなかった。 …

お婆ちゃんの手(フリー素材)

牛の貯金箱

小学生の頃、両親が共働きで鍵っ子だった俺は、学校から帰ると近所のおばあちゃんの家に入り浸っていた。 血縁者ではないが、一人暮らしのばあちゃんは俺にとても良くしてくれたのを覚えてい…