真っ白な蝶々
公開日: 心霊ちょっと良い話
私の母が亡くなってから、色々な出来事がありました。
最初は、母の葬儀が終わって夕方家に戻った時のことです。
玄関の黒いドアの真ん中に、真っ白な蝶々がぴったり止まっていました。
直感的に『お母さん、戻って来たんだ』と思い、
「家に入りたい?」と聞いたら、
『いいよ』とを返事するように、玄関の灯りが一瞬、ふわっと明るくなりました。
蝶々の羽根の模様が、母の顔に掛けたハンカチの刺繍の柄にそっくりで、暫くその蝶々を眺めていました。
※
次の朝になってもその蝶々は同じ場所に居て、私の知り合いや友人たちも皆、
「お母さんだ」「○○さんに間違いないよ」
と蝶々を囲んで話していました。
それから初七日を迎える前の晩まで、蝶々は同じ場所にぴったり止まったままでした。
時折、私が出掛けようとすると、ふわふわと庭の仕切りまで見送ってくれて、帰るとまた元の場所に止まっているのです。
※
初七日の前の晩。
「明日の朝は初七日だから、もう行かなくちゃいけないんじゃない?」
と話をして、お水をお供えしました。
初七日の朝、ドアを開けてみると、蝶々は居ませんでした。
初七日を終える夜、私はそれまでの疲れや心労でどっと寝込み、40℃ 近い熱が出ました。
うんうんと唸りながら、夜中の2時を過ぎた時のことです。
右腕がすっと真っ直ぐひとりでに持ち上がり、手の平にじんわりと温かい感触が伝わりました。
母の手に握られている感触です。
ふっと気持ちが楽になって、それから暫く心地良くそのままの姿勢で居ました。
※
気が付くと朝の5時になっていました。
3時間も腕を上げっぱなしだったはずなのに、体がとても楽になっていて、熱もすっかり引いていました。
見ていてくれているんだな、護られているんだなと、温かい気持ちになりました。
※
それから2、3日が経った晩、また夜中に腕がすっと上がりました。
今度は指先で、ひらがなでメッセージを送ってくれました。
『かわいいかわいい○○、いつもそばにいるからね。
○○にはなにもしてあげられなくてごめんね。
でも、これからはいつもまもっているからね』
『それから、おねがいがあるの。
いちばんおくのおしいれのいしょうけーすのしたに、おかあさんのひみつのたからものがあるの。
それをみつけて、もやしてほしいの』
母に言われた通りに、押し入れの一番奥の衣装ケースの下敷きを捲ってみると、ありました。
母が若い頃、父からもらったラブレターでした。
母に言われた通り、次の日に庭で燃やしました。
きっと天国に届いていると思います。