奇声を発するおっさん
公開日: 怖い話 | 死ぬ程洒落にならない怖い話
俺はあるマンションに住んでいるんだが、2ヵ月くらい前、真上の部屋に人の善さそうな初老のおっさんが引っ越してきた。
朝にゴミ出しをしていると「おはようございます」と笑顔で挨拶してくれるんだ。
それから1ヶ月経った頃、夜中の23時くらいに上のおっさんの部屋から「イーッ!」とか「アーッ!」みたいな感じの奇声が聞こえた。
後は「ブルルッ」てよく解らない音。そんな薄い壁でもないし、大きな音だと思う。奇声は二時間程で止む。
はじめはテレビの音だろうなと気にしなかったんだが、その日から毎日続くのでさすがに辛い。
なので一週間前に苦情を言いに行った。朝笑顔で挨拶してくるし、話せば解る人だと思ったんだ。
俺も喧嘩腰じゃなく紳士的に接すればご近所トラブルにはならないだろうと思ってな。
それで夜23時頃、例の奇声が聞こえてきたのでおっさんの部屋に行った。
※
ドアの前に来ると「アーッ!」とか「イーッ!」とか聞こえる。やはり大きな音だ。
呼び鈴を鳴らしたら「ブルルッ、ブルルッ」という音が近付いて来た。
『なんだ?』と思っていると勢いよくドアが開き、おっさんが物凄い勢いで首を横に振りながら「ブルルッ、ブルルッ」って。物凄い勢いなんだ。
しばらく呆然としていると、おっさんは白目を剥きながら「イーッ!ブルルッブルルッブルッアーッ!ウーッ!ブルッブルルッ!」。
俺は「すいません」と謝って逃げ出したよ。自分の部屋に戻って『何なんだあのおっさん…』と考えていると、ドアの外から「ブルルッ!」って…。
俺がガクブルだよ。
10分程でおっさんは帰ったみたいだが、俺は寝付けなかった。
怖かったけど昼に用事があったので、おっさんと遭遇しないようにいつもより早く家を出て、漫喫で時間潰そうと家を出たついでにゴミ出しをしていると、
「おはようございます!」
見上げたらいつも以上に笑顔のおっさんが顔を出していた。
今、俺は友達の家に泊まって引っ越しを考えてるよ。