てめぇじゃねぇ!

oi51152e6077c38

ある夜のことでした。

会社員のAさんは残業で遅くなったのでタクシーを拾いました。

タクシーの中では、運転手さんと色々な話で盛り上がっていました。

そして、タクシーは山の中の暗い道を通りかかりました。

脇はうっそうとした森になっており、他の車は見当たりませんでした。

その時、タクシーの運転手は人が変わったように暗い顔をしてこう言いました。

「いいですか、ここでは絶対に車の窓側を見てはいけません。絶対ですよ…」

Aさんは豹変した運転手に驚き「はい…」としか言えませんでした。

尚もタクシーは森の中を走ります。

しかし、おかしいなと思ったAさんはこう訊きました。

「なぜ見てはいけないのですか?」

でも、運転手さんは何も言いません。

Aさんは段々怖くなってきました。

その時でした。

見るなと言われていた窓側から「う~う~」と言う声が聞こえます。

なんだと思ってAさんは窓側を見てしまいました。

すると、窓にぬ~っと怒りを浮かべた男の形相が現われ、Aさんの顔を見てこう言ったそうです。

「てめぇじゃねぇ!」

そこからAさんの記憶はないそうです。

何年か前、その山道で轢き逃げ事故があり、男の方が亡くなられ、犯人は捕まっていないそうです。

そして、その男の方は毎晩毎晩そこを通る車を調べ、自分を轢いた犯人を探しているそうです。

関連記事

母からの手紙

息子が高校に入学してすぐ、母がいなくなった。 「母さんは父さんとお前を捨てたんだ」 父が言うには、母には数年前から外に恋人がいたそうだ。 落ち込んでいる父の姿を見て、…

オンマシラの儀

俺の実家周辺はかなり山深くて、未だに携帯の電波も届かない。 子供の頃はTVゲームも知らず、山で遊ぶしかない暮らしだった。日が暮れるまで山で虫を捕まえたり、基地を作ったり…。 …

麻雀(フリー写真)

曰く付きの大学寮

今から8年前の5月のお話。 当時は大学の寮に住んでいたのだけど、その寮は凄かった。 古戦場の近くで、その関係のお寺が近所にあり、更に寮の隣の竹林には首塚があった。 俺…

抽象画

神谷のおばさん

俺が中学生の時、『神谷のおばさん』という有名人がいた。 同級生神谷君の母親なので『神谷のおばさん』な訳だが、近所はもちろん同じ中学の奴まで、殆ど神谷のおばさんを知っているほど有名…

廃工場(フリー素材)

溶接

大学一回生の冬。俺は自分の部屋で英語の課題を片付けていた。 その頃はまだそれなりに授業も出ていたし、単位も何とか取ろうと頑張っていた。 ショボショボする目で辞書の細い字を指…

郵便受け(フリー写真)

空き家に届く封筒

以前仕事で聞いたことを書いてみる。 あまり詳しく書くと職責に触れるので、結構改変するからフィクションとして見て欲しい。 ※ 郵便配達の仕事をしていた頃のある日、誰も居ない空き…

くねくね

これは小さい頃、秋田にある祖母の実家に帰省した時のことである。 年に一度、お盆にしか訪れる事のない祖母の家に着いた僕は、大はしゃぎで兄と外に遊びに行った。やっぱり都会とは空気が違…

差し込む光(フリー写真)

井戸の女性

伯父に聞いた戦時中の話です。 実家は長崎にあるのですが、伯父は原爆が投下された時には少し離れた市の親戚の家に居たので無事でした。 戦争が終わり、暫くして実家に戻ると、家の裏…

家(フリー素材)

予兆

会社からの帰宅途中に新しい家があり、その家のベランダを見たら女性が体育座りをしている。 それだけだったら変じゃないけどさ。 よく見たら家族で体育座りをしているんだよね。 …

空き家(フリー写真)

両目を閉じたまま

小学低学年の頃、両親の用事のため、俺は知り合いのおばちゃん家に一晩預けられた。 そこの家は柴犬を飼っていて、俺は一日目の暇潰しにその犬を連れて散歩に出かけた。 土地感のな…